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障がい者グループホームの社員の属人化の解決方法

障がい者グループホームでは、利用者様一人ひとりに合わせた丁寧な支援が求められます。

そのため、経験豊富な職員が持つ知識や対応力は、とても大切な財産です。

一方で、

・この利用者様への対応は○○さんしか分からない
・新人教育がベテラン職員任せになっている
・夜勤で何か起きると特定の職員に連絡が集中する
・職員によって仕事の進め方が違う
・退職されると現場が回らなくなる

といった状態になっていないでしょうか。

これは「属人化」と呼ばれる状態です。

属人化が進むと、一部の職員へ負担が集中し、人手不足や離職、教育負担、支援品質のばらつきなどにつながる場合があります。

大切なのは、経験豊富な職員の良さをなくすことではありません。

その職員が持っている優れた知識や経験を、他の職員も活用できる「組織の財産」に変えていくことです。

今回は、大阪府で障がい者グループホームを運営する従業員44名の企業が、人事評価制度を活用して属人化の解消に取り組んだ事例をご紹介します。

約2年間にわたり会社の課題解決に取り組んだ結果、社員の意識と行動が変化し、売上1億円、利益6,000万円の増加につながりました。

大阪府で障がい者グループホームを運営する従業員44名の企業です。

利用者様への支援には職員一人ひとりの経験や判断が必要である一方、現場業務やケアのノウハウが個人に蓄積されやすく、特定の職員への依存が生まれていました。

また、人手不足に加えて夜勤やシフト勤務による職員の負担もあり、採用した職員が早期に離職してしまうことも課題となっていました。

具体的には、・利用者様への対応方法が職員によって異なる・新人教育がベテラン職員に集中する・夜勤やシフトの負担が一部の職員に偏る・現場のノウハウが十分に共有されていない・担当者が休むと他の職員が対応に困る・採用しても早期離職につながることがある、といった状態です。

そこで、個人の経験に頼っていた業務を整理し、職員同士で知識やノウハウを共有できる仕組みをつくることを重要な経営課題としました。

障がい者グループホームでは、利用者様によって必要な支援やコミュニケーションの方法が異なります。

そのため、経験を積んだ職員ほど、

「この方には、このように声をかけると安心していただける」

「このような変化があったときには注意したほうがよい」

といった、現場で培った大切な知識を持っています。

これは施設にとって非常に価値のある財産です。

しかし、その知識が本人の頭の中だけに残っていると、

「○○さんがいないと分からない」

という仕事が増えていきます。

結果として、経験豊富な職員へ質問や判断が集中し、その職員の負担がさらに大きくなるという悪循環が生まれることがあります。

属人化を解消するということは、すべての支援を画一化することではありません。

一人ひとりに合わせた支援を大切にしながら、共有できる知識や業務手順を組織全体の財産にしていくことが重要です。

1.特定の職員に業務や判断が集中する
2.利用者様への対応方法に職員ごとの差が出る
3.新人教育がベテラン職員任せになる
4.夜勤やシフト勤務の負担が偏りやすくなる
5.職員が休んだ際に代わりの人が対応しにくい
6.現場で得たノウハウが他の職員へ共有されない
7.新人が一人で仕事をできるようになるまで時間がかかる
8.一部の職員の負担が増え、離職につながりやすくなる
9.新しい職員を採用しても現場の受け入れ負担が大きくなる
10.新しい施設や事業所を増やしたくても人材育成が追いつかない

特に注意したいのは、「ベテラン職員が頑張っているから現場が回っている」という状態です。

一見すると問題なく運営できていても、その職員の休職や退職によって、それまで見えなかった問題が一気に表面化することがあります。

属人化を解消しようとして、すぐにマニュアル作成を始めるケースがあります。

しかし、その前に行いたいのが、

「仕事のできる職員は、何を見て、何を考え、どのように行動しているのか」

を整理することです。

例えば、

・勤務開始時に何を確認しているのか
・利用者様のどのような変化を見ているのか
・申し送りで何を伝えているのか
・問題が起きたときに誰へ報告しているのか
・新人へどのように仕事を教えているのか
・ヒヤリとした事例をどのように次の支援へ活かしているのか

などを整理します。

「ベテランだから分かる」で終わらせず、共有できる部分を言葉や手順に変えていきます。

今回の企業では、日々の業務を整理し、職員同士で共有できる仕組みづくりを進めました。

例えば、

勤務開始

申し送り・情報確認

利用者様の状況確認

日常生活の支援

必要な記録

職員間の情報共有

異常・変化への対応

次の勤務者への引き継ぎ

といったように、業務の流れを見えるようにします。

すべてをマニュアル通りにするという意味ではありません。

標準化できる業務と、利用者様に合わせて職員が判断する部分を分けることが大切です。

これによって、担当者が変わっても必要な情報を確認しやすくなり、特定の職員だけに仕事が集中する状態を減らしていきます。

人手不足を解消するには採用も大切ですが、採用した職員が安心して仕事を覚え、定着できる環境づくりも重要です。

新人が入るたびに、

「○○さんについて仕事を覚えてください」

という教育だけを行っていると、教える職員によって内容が変わりやすくなります。

そこで、

・入社時に覚えること
・1週間程度で覚えること
・1か月程度で身につけること
・一人でできるようになる業務
・先輩への確認が必要な業務
・判断に迷った際の相談方法

などを整理します。

教育内容を見える化することで、新人側も「次に何を覚えればよいのか」が分かりやすくなります。

同時に、教育するベテラン職員の負担軽減にもつながります。

障がい者グループホームでは、夜勤やシフト勤務が職員の負担につながることがあります。

特に、

「この時間帯は○○さんがいないと不安」

という状態になると、勤務できる職員が限定されてしまいます。

そこで、

・夜勤時に確認する項目
・問題発生時の対応方法
・緊急時の連絡先
・申し送り方法
・判断に迷った際の相談ルール
・代替要員でも対応できる業務

などを整理します。

「誰でも何でもできる状態」を目指すのではなく、「必要な情報が共有され、困ったときに誰でも適切な行動を取りやすい状態」をつくることがポイントです。

離職防止というと、給与や休日などの待遇面だけに目が向きがちです。

もちろん待遇は重要です。

しかし、

「何をすれば評価されるのか分からない」

「人によって教えることが違う」

「仕事のできる人ばかりに負担が集中する」

「困ったときに誰へ相談すればいいか分からない」

という環境も、職員にとって大きな負担になります。

業務を整理し、役割や目標を分かりやすくすることは、働きやすい職場づくりにもつながります。

ここが今回の取り組みの重要なポイントです。

経営者が、

「ノウハウを共有してください」

「新人を育ててください」

「マニュアルを作ってください」

と言っても、現場が忙しければ後回しになりがちです。

そこで、会社が解決したい「属人化」という経営課題そのものを、社員一人ひとりの目標へ落とし込みました。

例えば、

・業務手順を標準化する
・現場ノウハウを共有する
・申し送り方法を改善する
・新人教育の仕組みをつくる
・業務マニュアルを作成・改善する
・他の職員でも対応できる業務を増やす
・業務時間を削減する
・職員の負担を減らす改善案を出す
・支援品質を安定させる
・会社全体の生産性につながる改善を行う

といった行動です。

そして、それぞれの目標について達成度を確認し、その結果を賞与へ反映する人事評価制度を運用しました。

単に「仕事のできる人を評価する」のではありません。

「会社が抱えている課題を解決する行動をした人を評価する」という考え方です。

属人化解消で難しいことの一つが、忙しい職員にノウハウ共有や後輩育成へ取り組んでもらうことです。

ベテラン職員からすると、

「自分でやったほうが早い」

という場面も少なくありません。

そこで、

会社が解決したい課題を明確にする

部署の課題にする

職員一人ひとりの目標にする

改善行動を評価する

達成度を賞与へ反映する

という流れをつくります。

これにより、マニュアル作成や後輩育成、業務改善などを「本来の仕事とは別の仕事」にせず、正式な仕事・目標として位置づけることができます。

人事評価制度を活用しながら約2年間、属人化の解消と会社の課題改善に取り組みました。

その結果、社員が会社の課題解決を自分自身の仕事として捉える意識が高まり、特定の職員だけが抱えていた知識や経験を組織で共有し、業務改善へ取り組む流れが生まれました。

そして会社の課題改善が進んだ結果、

・売上1億円増加
・利益6,000万円増加

につながりました。

大切なのは、職員へ単純に「もっと頑張ってほしい」と求めたことではありません。

会社の成長を妨げている課題を明確にし、その解決を一人ひとりの目標と行動につなげたことです。

今回の考え方は、障がい者グループホームだけに限定されるものではありません。

・障がい福祉サービス
・介護事業所
・訪問介護
・訪問看護
・高齢者施設
・児童福祉事業
・製造業
・建設業
・IT企業
・サービス業

など、「○○さんがいないと仕事が回らない」という問題を抱える企業で応用できます。

業種が違っても、個人の頭の中にある経験やノウハウを組織の財産へ変えていくという考え方は共通しています。

「人が足りないから、もっと採用しなければならない」

もちろん採用は重要です。

しかし、人を採用するだけで、

・新人教育の負担が増える
・ベテラン職員がさらに忙しくなる
・新人が仕事を覚えられない
・早期離職する
・また採用する

という循環になってしまっては、根本的な解決にはなりません。

だからこそ、人手不足対策と属人化解消は一緒に考える必要があります。

採用

教育

業務標準化

ノウハウ共有

負担軽減

職員定着

サービス品質向上

という流れをつくることで、採用した人材が活躍しやすい組織へ変えていきます。

属人化そのものが悪いわけではありません。

経験豊富な職員が高い専門性を身につけることは、利用者様にとっても会社にとっても大切な財産です。

問題なのは、その財産が「その人の中だけ」に残ってしまうことです。

「○○さんがいないとできない」

という状態から、

「○○さんが培った優れた経験を、他の職員も活用できる」

という状態へ変えていくことが大切です。

そのためには、単にマニュアルを作るだけではなく、

会社の課題

部署の課題

社員一人ひとりの目標

具体的な改善行動

人事評価

賞与

までをつなげます。

人事評価制度を「職員に点数をつける制度」ではなく、「会社の課題を社員全員で解決する仕組み」として活用することで、属人化の解消、職員の定着、業務効率化、そして業績向上を同時に目指すことができます。

「ベテラン職員がいないと現場が回らない」
「新人を採用してもなかなか定着しない」
「職員によって仕事の進め方が違う」
「管理者や一部の職員へ負担が集中している」
「人事評価制度を会社の課題解決につなげたい」

このようなお悩みがございましたら、まず現在どこに属人化が発生しているのかを整理するところから、丁寧にお手伝いいたします。

人事評価制度・属人化解消について相談する

ご相談はこちらからお問い合わせください。

Q
障がい者グループホームで属人化が起こる原因は何ですか?
A

利用者様一人ひとりに合わせた対応が必要なため、経験豊富な職員の知識や判断に業務が依存しやすいことが原因の一つです。支援方法や申し送り、新人教育、緊急時対応などの共有できる部分を整理し、組織のノウハウとして蓄積することが重要です。

Q
障がい者グループホームの属人化はどのように解消できますか?
A

まず、特定の職員しか分からない業務を洗い出します。そのうえで、業務手順、利用者様への対応に必要な情報、申し送り、教育方法などを見える化・標準化し、他の職員でも対応できる範囲を増やしていきます。

Q
属人化を解消すると職員の離職防止にもつながりますか?
A

特定職員への業務集中や教育負担を減らし、役割や業務手順、相談方法などを分かりやすくすることは、働きやすい職場づくりにつながります。ただし、離職には待遇、人間関係、勤務条件など複数の要因があるため、それらも含めて考えることが大切です。

Q
人事評価制度で属人化を解消するにはどうすればよいですか?
A

「マニュアルを作る」「後輩を育成する」「ノウハウを共有する」「他の職員でも対応できる業務を増やす」といった属人化解消につながる行動を社員の目標に設定し、達成度を評価します。さらに賞与と連動させることで、改善活動を正式な仕事として継続しやすくします。

Q
障がい者グループホーム以外でも属人化解消の人事評価制度は使えますか?
A

はい。介護・福祉だけでなく、製造業、建設業、IT、営業、サービス業など、特定の社員に知識・技術・顧客情報・業務が集中している企業で応用できます。重要なのは、会社固有の課題を明確にし、その解決を社員の目標と評価につなげることです。

土山 誠
経営アドバイザー合同会社 代表

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