
特定社員に集中するIT支援・営業・プロジェクトの
ノウハウを仕組みに変え、人事評価制度で改善を促進。
売上1億8,000万円・利益9,000万円増加につながった事例
ブランディング戦略立案の仕事は、企業ごとに課題や方向性が異なるため、高度な提案力や企画力が求められます。
IT企業の属人化を解消し、安定した売上と利益を生み出す組織づくり
IT企業やITコンサルティング会社では、社員一人ひとりが持つ専門知識や経験が大きな競争力になります。
一方で、
・この案件は○○さんにしか分からない
・お客様との関係を担当者しか把握していない
・プロジェクトの進め方が人によって違う
・トラブル対応がベテラン社員に集中している
・成功したノウハウが社内で共有されていない
という状態になっていないでしょうか。
専門性の高さは会社の強みですが、その専門性が特定社員だけのものになってしまうと、社員が増えても売上を伸ばしにくくなり、管理職や経営者の負担もなかなか減りません。
今回は、東京都でIT戦略策定、情報システム部門の立ち上げ、クラウド移行、セキュリティ対策などを支援する従業員71名の企業が、人事評価制度を活用して属人化解消に取り組んだ事例をご紹介します。
約2年間の取り組みにより社員の意識と行動が変わり、会社の課題改善が進んだ結果、売上1億8,000万円、利益9,000万円の増加につながりました。
お客様の課題
東京都で、中堅・中小企業を中心にIT戦略策定、情報システム部門の立ち上げ、クラウド移行、セキュリティ対策などを幅広く支援している従業員71名の企業です。
お客様のIT部門に深く入り込んで伴走できることが強みである一方、専門性の高い業務だからこそ、コンサルタントや担当者個人にノウハウが蓄積されやすいという課題がありました。
具体的には、・プロジェクトの進め方が担当者によって異なる・顧客対応のノウハウが担当者に集中する・成功したプロジェクトの知識が全社で共有されにくい・営業からサービス提供までの流れが統一されていない・同じ品質のサービスを再現することが難しい・既存顧客への継続提案が担当者任せになっている、といった状態です。
そこで、個人が持っている知識や経験を会社全体の財産に変え、誰が担当しても一定水準のサービスを提供できる仕組みづくりを重要課題としました。
IT企業で属人化が起こりやすい理由
IT企業では、お客様によってシステム環境や経営課題、既存システム、セキュリティ環境などが異なります。
そのため、マニュアルだけでは対応できない場面も多く、経験豊富な社員の判断力が重要になります。
これはIT企業の大きな強みです。
しかし、
「このシステムは○○さんしか分からない」
「このお客様への対応は△△さんしかできない」
という状態が増えてくると、会社の成長を支えていた専門性が、逆に成長を止める原因になることがあります。
大切なのは、社員の専門性をなくすことではありません。
個人の優れた経験やノウハウを、他の社員も活用できる「会社の仕組み」に変えていくことです。
IT企業の属人化で起こりやすい10の問題
IT企業で属人化が進むと、次のような問題が起こりやすくなります。
1.特定の技術者やコンサルタントに仕事が集中する
2.担当者によってサービス品質に差が出る
3.顧客情報や対応履歴が十分に共有されない
4.トラブル対応を一部の社員に頼ってしまう
5.成功したプロジェクトのノウハウが横展開されない
6.新人や若手社員の育成に時間がかかる
7.既存顧客への追加提案や継続提案が担当者任せになる
8.案件数が増えるほど管理職やベテラン社員が忙しくなる
9.売上を増やそうとしても人員不足がボトルネックになる
10.売上が増えても利益率が思うように改善しない
特に注意したいのは、「優秀な社員が頑張ってくれているため、属人化が経営課題として見えにくい」ケースです。
今は問題なくても、その社員の異動や退職、案件急増などをきっかけに、一気に問題が表面化する可能性があります。
属人化解消の第一歩は「優秀な社員の仕事を見える化する」こと
属人化を解消しようとして、すぐにマニュアル作成から始める会社もあります。
しかし、その前に重要なのが「成果を出している社員は何をしているのか」を明らかにすることです。
個人の経験を会社のノウハウへ変える
例えば、
・お客様の課題をどのように聞き出しているか
・プロジェクト開始時に何を確認しているか
・どのような順序で業務を進めているか
・問題発生時にどのように判断しているか
・どのタイミングで顧客へ提案しているか
・プロジェクト終了後に何を振り返っているか
といった行動を整理します。
「優秀な人だからできる」で終わらせず、その人が行っていることを言葉や手順に変えることが属人化解消の第一歩です。
ITサービスの提供プロセスを標準化する
今回の企業では、案件ごと、担当者ごとに異なっていた業務プロセスを整理しました。
例えば、
顧客からの相談
↓
現状把握
↓
課題整理
↓
提案
↓
プロジェクト設計
↓
実行
↓
進捗・品質管理
↓
成果確認
↓
振り返り
↓
継続・追加提案
というように、サービス提供の流れを見えるようにします。
もちろん、IT支援ではお客様ごとに内容が異なるため、すべてを同じにする必要はありません。
標準化する部分と、担当者の専門性を活かす部分を分けることが大切です。
プロジェクトの成功ノウハウを会社の財産にする
IT企業では、一つひとつのプロジェクトに非常に価値のある経験が蓄積されています。
例えば、
・どのような課題があったか
・どのような提案をしたか
・どのような問題が発生したか
・どのように解決したか
・どの程度の工数が必要だったか
・お客様からどのような評価を受けたか
・次回は何を改善すべきか
などです。
こうした情報を案件終了と同時に消えていく経験にせず、社内で共有できる形にしておけば、別の社員が類似案件を担当するときにも活用できます。
一人の経験を100%その人だけのものにするのではなく、組織全体の能力向上につなげていく考え方です。
既存顧客への継続支援も属人化させない
IT支援会社では、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客との継続的な関係づくりも重要です。
しかし、顧客との関係が担当コンサルタントだけに依存していると、追加提案や継続支援の機会を逃してしまうことがあります。
そこで、
・導入後の定期確認
・課題の再確認
・成果指標の確認
・新しいIT課題の発見
・追加支援の提案
・次の改善計画の作成
など、継続支援の流れも整理します。
これにより、担当者個人の営業力だけに頼らず、会社として既存顧客との関係を深めやすくなります。
人事評価制度で「属人化解消」を社員の目標にする
ここが今回の取り組みの重要なポイントです。
会社が、
「ノウハウを共有してください」
「マニュアルを作ってください」
と言うだけでは、忙しい社員ほど日常業務を優先してしまいます。
そこで、会社が解決したい「属人化」という経営課題そのものを社員の目標にしました。
属人化解消につながる行動を評価する
例えば、
・業務手順を標準化する
・成功事例を社内で共有する
・プロジェクトの振り返りを行う
・顧客対応ノウハウを共有する
・業務マニュアルを作成・改善する
・若手社員へ専門知識を教える
・業務時間を削減する
・既存顧客への継続支援方法を仕組み化する
・担当者以外でも対応できる体制をつくる
・会社全体の利益につながる改善提案を行う
といった行動です。
そして、目標に対する達成度を確認し、賞与へ反映する人事評価制度を運用しました。
「売上を上げた人だけを評価する」のではなく、「会社の課題を解決した人を評価する」という考え方です。
人事評価と賞与を連動させることで改善を継続する
属人化解消で難しいのは、ノウハウを持っている社員に「共有する意味」を感じてもらうことです。
本人からすれば、マニュアル作成や後輩指導に時間を使うより、自分の仕事を進めたほうが早い場合もあります。
そこで、
会社が解決したい課題を明確にする
↓
社員の個人目標へ落とし込む
↓
改善行動を評価する
↓
達成度を賞与へ反映する
という流れをつくります。
これによって、属人化解消を「本来の仕事とは別の仕事」にするのではなく、社員自身の正式な目標として位置づけます。
約2年間の取り組みで得られた成果
人事評価制度を活用しながら約2年間、属人化の解消と会社の課題改善に取り組んだ結果、社員の意識が高まりました。
特定社員だけが持っていた知識や経験を会社全体で活用すること、そして自分自身の仕事だけではなく、組織全体の生産性や利益を考えて改善する意識が育っていきました。
その結果、
・売上1億8,000万円増加
・利益9,000万円増加
につながりました。
重要なのは、単純に社員へ「もっと売上を上げよう」と求めるのではなく、売上や利益の拡大を妨げている会社の課題を見つけ、その解決を社員一人ひとりの行動につなげたことです。
この仕組みはIT企業以外の属人化にも活用できます
今回の仕組みは、IT企業だけに限定したものではありません。
・ITコンサルティング会社
・システム開発会社
・SES会社
・Web制作会社
・コンサルティング会社
・製造業
・建設会社
・専門商社
・営業会社
・技術や専門知識を持つ中小企業
など、「○○さんにしかできない仕事」が増えている会社で活用できます。
特に、社員数が増えているにもかかわらず、社長や一部の優秀な社員の仕事が減らない会社では、属人化が成長を妨げていないかを確認することが大切です。
会社の成長を止める属人化を、人事評価制度で解決する
属人化そのものが悪いわけではありません。
優秀な社員が経験を積み、高度な専門性を身につけることは、会社にとって大切な財産です。
問題は、その財産が「個人の中だけ」に残ってしまうことです。
「この仕事は○○さんしかできない」
という状態から、
「○○さんの優れた仕事を、会社全体で活用できる」
という状態へ変えていく。
そのためには、単にマニュアルを作るだけではなく、
会社の課題
↓
部署の課題
↓
社員一人ひとりの目標
↓
具体的な改善行動
↓
人事評価
↓
賞与
までをつなげることが重要です。
人事評価制度を「社員に点数をつける制度」ではなく、「会社の課題を社員全員で解決する仕組み」として活用することで、属人化解消と業績向上を同時に目指すことができます。
IT業務、営業、技術、顧客対応などで「特定社員がいないと仕事が回らない」というお悩みがございましたら、現在どこに属人化が発生しているのかを整理するところから、丁寧にお手伝いいたします。
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よくあるご質問 FAQ
IT企業では、顧客ごとにシステム環境や課題が異なり、技術者やコンサルタントの経験・専門知識に頼る場面が多いためです。個人の知識を業務手順、成功事例、判断基準などとして共有できる形にすることが、属人化解消の重要なポイントです。
まず「誰に、どの仕事が集中しているのか」を把握することから始めます。そのうえで、成果を出している社員の行動、判断方法、業務手順、顧客対応などを見える化し、他の社員も再現できる仕組みへ変えていきます。
マニュアル作成だけでは十分ではありません。マニュアルを作成・改善することや、ノウハウを共有すること自体を社員の目標として設定し、人事評価と連動させることで、継続的な改善につなげることが重要です。
会社が解決したい属人化の課題を、部署や社員一人ひとりの具体的な目標へ落とし込みます。例えば「業務手順の標準化」「成功事例の共有」「後輩育成」「顧客対応方法の仕組み化」などを評価対象とし、その達成度を賞与へ反映する方法があります。
はい。営業、技術、制作、顧客対応などが特定社員の経験やノウハウに依存している企業であれば、業種を問わず活用できます。製造業、建設業、IT企業、Web制作会社、専門商社、コンサルティング会社など、全国の企業に応用できる考え方です。
この記事を書いた人

土山 誠
経営アドバイザー合同会社 代表
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