
制作ノウハウの共有・制作工程の標準化・外注管理の改善により
売上7,000万円・利益3,600万円増加につながった組織改善事例
ブランディング戦略立案の仕事は、企業ごとに課題や方向性が異なるため、高度な提案力や企画力が求められます。
映像制作会社の属人化を解消し、案件が増えても利益を残せる組織をつくる方法
映像制作会社では、
「仕事のできるプロデューサーに案件が集中している」
「担当者によって見積金額や制作期間が変わる」
「案件が増えるほど外注費も増えて利益が残らない」
「制作ノウハウが社員個人の中に蓄積されている」
「仕事の依頼はあるのに、人手が足りず受けられない」
といった悩みが起こることがあります。
今回ご紹介するのは、東京都でTVCMを含む映像制作とWeb・イベントのプロデュースを行う従業員27名の企業です。
高い制作力を持つ一方、制作ノウハウやディレクション技術が個々のプロデューサーやディレクターに依存しやすく、業務の属人化が進んでいました。
その結果、担当者によって見積り精度や制作期間に差が生まれ、案件によっては外注コストが増加していました。
さらに、仕事のできる社員へ案件が集中することで社内の工数が不足し、新しい依頼があっても十分に対応できないという機会損失も発生していました。
そこで、
・制作プロセスの標準化
・制作業務のマニュアル化
・外注管理方法の整備
・スケジュール管理の仕組み化
・制作ノウハウの共有
などを社員一人ひとりの目標として設定し、その達成度を賞与へ反映する人事評価制度を導入しました。
その結果、社員の属人化解消に対する意識が高まり、会社全体の改善が進み、
・売上7,000万円増加
・利益3,600万円増加
という成果につながりました。
映像制作会社で業務が属人化しやすい理由
映像制作には、企画、見積り、撮影準備、スタッフ手配、撮影、編集、確認、納品など、多くの工程があります。
さらに案件ごとに、クライアントの目的、予算、制作内容、納期、必要なスタッフも異なります。
そのため経験豊富なプロデューサーやディレクターは、
「この内容なら、これくらいの制作期間が必要」
「この予算なら、この制作方法が適している」
「この撮影なら、この外部スタッフへ依頼する」
「この段階で確認しておかないと後で修正が増える」
といった判断を経験から行っています。
こうした判断力は、会社にとって大切な財産です。
しかし、その知識が個人の経験だけに蓄積されると、
「この案件は○○さんでなければ進められない」
「見積りの根拠を他の社員が説明できない」
「外注先の選定方法が担当者によって違う」
という状態になりやすくなります。
属人化を解消する目的は、プロデューサーやディレクターの個性や専門性をなくすことではありません。
優秀な社員が持っている経験や判断方法を、会社全体で活用できる「組織の財産」に変えていくことです。
お客様が抱えていた10の課題
今回の企業では、案件を増やしていくうえで次のような課題がありました。
1.制作ノウハウが個々の社員に蓄積されている
2.ディレクション方法が担当者によって異なる
3.案件によって見積り精度に差が生じる
4.制作期間を正確に予測しにくい
5.仕事のできる社員へ案件が集中する
6.外注先の選定や管理方法が担当者任せになっている
7.案件によって外注費が増え利益率が下がる
8.制作スケジュールの調整に時間がかかる
9.工数不足によって新しい案件を受けにくい
10.売上が増えても利益が同じようには増えない
特に注意したいのが、
「仕事はたくさんあるのに、受けられない」
という状態です。
これは営業力の問題ではなく、社内の制作能力が会社の成長を制限している可能性があります。
受注を増やすだけでは、社員の仕事量や外注費も増えてしまいます。
だからこそ、案件を増やす前に「同じ人数でも、より多くの案件へ安定して対応できる仕組み」を整えることが大切になります。
制作業務の属人化を解消する10の取り組み
今回の改善では、クリエイティブそのものを均一化するのではなく、共通化できる仕事を仕組みにすることを重視しました。
1.制作プロセスを見える化する
問い合わせから企画、見積り、撮影、編集、確認、納品まで、案件の基本的な流れを整理します。
2.見積り方法を整理する
過去案件の制作時間や外注費などを確認し、見積りの判断材料を会社として蓄積します。
3.制作期間の基準をつくる
案件の種類や規模ごとに必要な工程と標準的な期間を整理し、スケジュールを立てやすくします。
4.制作工程をマニュアル化する
すべてを細かくマニュアル化するのではなく、確認事項や失敗しやすいポイントなど、共有する価値の高い部分から整理します。
5.成功事例を共有する
成果が出た案件について、企画内容だけでなく、進め方、工数、外注体制、利益率なども共有します。
6.外注先の情報を会社で共有する
外部のカメラマン、編集者、デザイナーなどについて、得意分野、費用、対応品質などを整理します。
7.外注管理のルールを整える
発注方法、確認方法、品質基準、納期管理などを整理し、担当者による管理方法の違いを減らします。
8.スケジュール管理を仕組み化する
誰がどの案件を担当し、どの時期に工数が不足するのかを把握できる状態をつくります。
9.案件終了後に振り返る
見積りと実際の工数、外注費、修正回数、納期、利益率などを確認し、次の案件へ活かします。
10.属人化解消を人事評価の目標にする
マニュアル作成、成功事例の共有、後輩育成、工数削減、外注費削減などを正式な評価対象にします。
映像制作は標準化すると品質が落ちるのか
映像制作会社では、
「クリエイティブな仕事は標準化できない」
「マニュアルを作ると個性がなくなる」
と考えられることがあります。
しかし、標準化するのは作品そのものではありません。
例えば、
問い合わせ
↓
ヒアリング
↓
企画
↓
見積り
↓
制作準備
↓
撮影
↓
編集
↓
確認・修正
↓
納品
↓
案件の振り返り
という基本的な制作プロセスは共有できます。
また、
・ヒアリング時の確認項目
・見積りの考え方
・撮影前の確認事項
・外注先への依頼方法
・品質確認の項目
・修正対応の進め方
・案件終了後の振り返り
なども仕組み化できます。
つまり、
「クリエイティブを標準化する」
のではなく、
「クリエイティブ以外の毎回繰り返している仕事を効率化する」
という考え方です。
共通業務を仕組み化できれば、プロデューサーやディレクターは企画や演出など、本当に専門性が必要な仕事へ時間を使いやすくなります。
人事評価制度で制作改善を継続させる
制作プロセスを整理し、マニュアルを作っただけでは、改善活動が継続しないことがあります。
映像制作には納期があります。
忙しくなれば、
「まず目の前の案件を終わらせよう」
となるのは自然なことです。
そのため、会社が解決したい課題を社員一人ひとりの目標へ落とし込みました。
例えば、
・制作プロセスを標準化する
・制作マニュアルを作成する
・見積り精度を高める
・予定工数と実際の工数の差を減らす
・外注費を適正化する
・外注管理方法を改善する
・制作期間を短縮する
・成功事例を共有する
・後輩を育成する
・案件ごとの利益率を改善する
といった目標です。
そして、その達成度を人事評価で確認し、賞与へ反映しました。
評価するのは「自分の案件で成果を出したか」だけではありません。
「自分が持っている制作ノウハウを会社に残したか」
「他の社員が同じように成果を出せる仕組みをつくったか」
「会社全体の生産性や利益向上へ貢献したか」
という行動も評価します。
これによって、
「自分の案件を成功させる」
という視点から、
「会社全体で良い仕事ができる仕組みをつくる」
という視点へ社員の意識を広げやすくなります。
売上7,000万円・利益3,600万円増加につながった改善
今回の企業では、制作プロセスの標準化とマニュアル化を進めました。
同時に、外注管理やスケジュール管理の仕組みを整え、特定のプロデューサーやディレクターだけに仕事や判断が集中しにくい体制づくりを進めました。
さらに、こうした改善活動を社員一人ひとりの目標として設定し、その達成度を人事評価と賞与へ反映しました。
その結果、社員の属人化解消への意識が高まり、会社全体の課題改善が進み、
・売上7,000万円増加
・利益3,600万円増加
という成果につながりました。
ポイントは、単純に社員へ、
「もっとたくさん案件をこなしてください」
と求めたわけではないことです。
「どうすれば見積り精度を高められるか」
「どうすれば制作期間のばらつきを減らせるか」
「どうすれば外注費を適正化できるか」
「どうすれば優秀な社員の制作ノウハウを会社全体で利用できるか」
「どうすれば今の人数でも、より多くの案件へ対応できるか」
という経営課題そのものを社員の目標にしました。
社員が会社の課題を改善するほど評価され、その結果として会社の売上と利益も伸びる。
そのように会社と社員の目標を同じ方向へ合わせることが、人事評価制度を業績向上につなげる大切なポイントです。
このような企業では属人化を見直す価値があります
今回の考え方は、映像制作会社だけのものではありません。
例えば、
・優秀な社員へ仕事が集中している
・担当者によって仕事の進め方が違う
・見積りと実際の工数が合わない
・外注費が想定以上に増える
・案件が増えると納期が厳しくなる
・仕事はあるのに人手不足で受注できない
・ノウハウが社員個人の中に残っている
・新人が一人前になるまで時間がかかる
・売上が増えているのに利益が残らない
・人事評価制度を会社の成長につなげたい
という企業では、業務の属人化が成長を妨げていないか確認する価値があります。
映像制作会社のほか、広告会社、Web制作会社、デザイン会社、イベント制作会社、システム開発会社、設計会社、コンサルティング会社など、専門的な知識や経験によって成果が変わりやすい企業にも応用できます。
大切なのは、優秀な社員から仕事を取り上げることではありません。
その社員が持っている優れた経験や判断力を会社全体へ広げ、より多くの社員が成果を出せる環境をつくることです。
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ご相談について
人事評価制度は、売上や制作本数だけを評価するための制度ではありません。
会社が現在解決したい課題を社員一人ひとりの目標へ落とし込み、その改善行動を評価することで、
・制作業務の属人化解消
・制作プロセスの標準化
・見積り精度の向上
・制作期間の短縮
・外注管理の改善
・外注コストの適正化
・ノウハウ共有
・人材育成
・対応可能な案件数の増加
・利益率の改善
を同じ方向へつなげることができます。
「仕事のできる社員へ案件が集中している」
「案件が増えると外注費も増えてしまう」
「見積りと実際の制作工数に差がある」
「仕事はあるのに人手不足で受けられない」
「人事評価制度を会社の利益向上につなげたい」
このようなお悩みがございましたら、まずは「どの業務が誰に集中しているのか」「どの工程なら標準化できるのか」を整理するところから、丁寧にお手伝いいたします。
全国の企業に対応しております。
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よくあるご質問 FAQ
映像制作では、企画、見積り、撮影、編集、外注管理など多くの判断が必要になり、その判断基準が経験豊富なプロデューサーやディレクター個人に蓄積されやすいためです。制作プロセスや判断基準、成功事例を共有できる形にすることが属人化解消の第一歩です。
できます。作品の企画や表現を画一化するのではなく、ヒアリング、見積り、制作準備、外注管理、品質確認、納品、振り返りなど、案件に共通する工程を標準化します。これにより、クリエイティブの自由度を保ちながら業務効率を高めやすくなります。
まず案件ごとの外注内容、外注費、制作工数、利益率を把握します。そのうえで、外注先の得意分野や費用、品質、納期対応などを会社全体で共有し、発注方法や管理方法を整えることで、外注コストを適正化しやすくなります。
人事評価制度だけで属人化が自動的に解消するわけではありませんが、マニュアル作成、ノウハウ共有、後輩育成、工数削減、外注管理の改善などを社員の正式な目標に設定し、達成度を評価・賞与へ反映することで、改善活動を継続しやすくなります。
最初に、どの社員や工程へ仕事が集中しているかを見える化することが大切です。そのうえで、標準化できる工程、他の社員へ移せる業務、外注できる業務、再利用できる資料やノウハウを整理します。採用だけに頼らず、現在の人員で対応できる案件数を増やす視点が重要です。
この記事を書いた人

土山 誠
経営アドバイザー合同会社 代表
ブランディング戦略立案の仕事は、企業ごとに課題や方向性が異なるため、高度な提案力や企画力が求められます。
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