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社労士事務所の社員の属人化の解決方法

社労士事務所では、給与計算や各種手続きなど定型化しやすい業務がある一方、顧問先からの相談や個別事情への対応など、人の判断が必要な仕事も数多くあります。

顧問先が増えることは事務所の成長につながりますが、

「顧客が増えるほど職員の仕事も増えていく」
「特定の顧問先について担当者しか分からない」
「繁忙期になると業務が一気に集中する」
「急な問い合わせが入ると通常業務が止まってしまう」
「ベテラン職員と新人で対応品質に差がある」

といった問題が起こることがあります。

その背景の一つにあるのが「業務の属人化」です。

属人化とは、仕事の進め方、顧客情報、判断基準、ノウハウなどが特定の職員に集中し、他の職員が同じように対応しにくくなっている状態です。

今回は、東京都の従業員16名の社労士事務所で、定型業務の標準化・マニュアル化と仕組みの見直しを進めた事例をもとに、属人化を減らす方法をご紹介します。

今回のお客様は、東京都の従業員16名の社労士事務所です。

日常業務には定型的な仕事も多くありましたが、顧問先ごとの個別対応や、その都度発生する相談も多いため、顧客数や業務量が増えるほど職員の工数も増えやすい状態になっていました。

特に繁忙期や急な問い合わせが重なると、通常業務にも影響が出やすく、顧客対応の品質にもばらつきが生まれる可能性がありました。

【お客様の課題】

顧問先が増えるほど、
職員の業務量も増えている。

定型業務であっても、
担当者によって進め方が異なっている。

顧問先ごとの情報や過去の対応内容が、
担当職員に集中している。

個別相談への対応方法が、
経験豊富な職員の判断に依存している。

繁忙期になると、
一部の職員へ仕事が集中している。

急な問い合わせが入ることで、
予定していた業務が遅れることがある。

新人や経験の浅い職員が、
一人で対応できるようになるまで時間がかかる。

その結果、顧問先を増やそうとしても、職員の工数がサービス提供のボトルネックになりやすい状況でした。

そこで、

「職員を増やして対応する」

だけではなく、

「仕組みにできる仕事は仕組みにし、専門的な判断が必要な仕事へ職員の時間を使える状態をつくる」

という方向から改善を進めました。

社労士事務所には、一定の手順で進めやすい業務と、個別の判断が必要になる業務があります。

例えば、

顧問先からの依頼受付
必要情報の確認
各種手続き
給与計算
進捗確認
顧問先への連絡
相談対応
過去の対応履歴の確認

など、さまざまな仕事があります。

経験豊富な職員であれば、

「この会社では以前にも同じ相談があった」
「このケースでは、ここを確認しておいた方がよい」
「この顧問先には、このように説明すると分かりやすい」

といった判断を自然に行っていることがあります。

問題は、その情報や判断方法が本人の頭の中だけに残ってしまうことです。

個別対応と属人化は分けて考える

顧問先ごとに状況が異なる以上、すべての仕事を同じ方法で処理する必要はありません。

しかし、

「顧問先に合わせて対応を変えること」と
「担当者にしか対応方法が分からないこと」

は別の問題です。

共通する受付方法や確認項目、進捗管理、情報共有などを仕組みにし、個別の判断が必要な部分に専門性を活かすことが大切です。

自社に次のような状態がないか確認してみてください。

1.特定の顧問先について担当職員しか詳しい状況が分からない
2.同じ種類の業務でも職員によって進め方が違う
3.顧問先からの問い合わせ履歴が十分に共有されていない
4.ベテラン職員に確認しなければ進められない仕事が多い
5.繁忙期になると特定の職員へ業務が集中する
6.急な問い合わせによって予定業務が遅れやすい
7.同じような質問へ職員がそれぞれ個別に対応している
8.新人教育の内容が指導担当者によって異なる
9.顧問先が増えるほど残業や業務負荷も増えやすい
10.売上を増やすためには職員数も同じように増やす必要がある

複数当てはまる場合には、

「人手不足だから採用する」

という方法だけでなく、

「現在の業務のうち、標準化できる仕事はどれか」

を確認することも大切です。

1.事務所全体の業務を洗い出す

まず、日常的にどのような仕事が発生しているのかを整理します。

2.定型業務と個別判断が必要な業務を分ける

すべてをマニュアル化するのではなく、共通化できる部分を見つけます。

3.業務手順を標準化する

担当者によって異なっていた仕事の進め方を整理します。

4.確認項目をチェックリスト化する

繰り返し発生する業務について、確認漏れを防ぎやすい状態をつくります。

5.業務マニュアルを整備する

新人や別の担当者でも、基本的な仕事を理解できる状態を目指します。

6.顧問先情報を共有する

過去の相談や対応履歴など、業務に必要な情報を担当者だけに残さないようにします。

7.問い合わせ対応の事例を蓄積する

繰り返し発生する質問や相談を整理し、回答を考える際の参考情報として共有します。

8.業務の進捗を見える化する

「誰が、何を、どこまで進めているか」を確認できる状態にします。

9.システム間の連携や自動化を検討する

同じ情報の重複入力など、職員が繰り返し行っている作業を見直します。

10.業務改善とノウハウ共有を人事評価につなげる

社労士事務所の業務効率を高めるには、

「職員にもっと速く仕事をしてもらう」

と考える前に、

「そもそも、この作業は毎回人が行う必要があるのか」

を確認することが重要です。

例えば、

顧問先から依頼を受ける
↓
必要情報を確認する
↓
不足資料を依頼する
↓
担当者へ割り振る
↓
業務を処理する
↓
内容を確認する
↓
顧問先へ連絡する
↓
対応履歴を残す
↓
次回必要な対応を確認する

という一連の流れを見える化します。

すると、

同じ情報を何度も入力している
同じ確認を複数の職員が行っている
毎回同じ内容のメールを作成している
進捗確認のために担当者へ聞いている
顧問先情報を探す時間が発生している

といった業務が見つかることがあります。

標準化の目的は職員を縛ることではない

マニュアルやチェックリストを作る目的は、職員の判断をなくすことではありません。

共通業務に使う時間を減らし、

顧問先への相談対応
複雑な案件への対応
顧問先への提案
専門的な判断
顧客との関係づくり

など、人だからこそ価値を提供できる仕事へ時間を使いやすくするためです。

マニュアルを作っただけでは、属人化が解消されないことがあります。

マニュアルが古くなる
どこにあるのか分からない
実際の仕事と内容が違う
顧問先ごとの情報は別の場所にある

という状態になれば、職員は結局ベテラン社員へ質問するようになります。

そこで、

業務手順
顧問先情報
対応履歴
進捗状況
よくある相談
過去の判断事例

などを、実際の業務の流れに合わせて確認できる状態をつくります。

システム導入だけで属人化が解決するとは限らない

業務効率化のためにシステムを導入しても、

「今までの複雑な仕事をそのままシステムに移した」

だけでは、大きな改善につながらない場合があります。

先に、

どの仕事が必要なのか
どの仕事をなくせるのか
どこを標準化できるのか
どこを自動化できるのか
どこに人の判断が必要なのか

を整理します。

そのうえでシステムを活用することで、職員の工数削減とサービス品質の安定を両立しやすくなります。

業務改善で難しいのは、

「仕組みを作ること」

より、

「仕組みを使い続け、改善し続けること」

です。

そこで今回の事務所では、

事務所の課題
↓
職員の具体的な目標
↓
日々の改善行動
↓
達成度
↓
人事評価
↓
賞与

という流れを整えました。

例えば、

「担当業務を整理し、他の職員でも対応できるマニュアルを月○件作成・改善する」

「繰り返し発生する問い合わせを月○件整理し、回答事例として共有する」

「重複作業を洗い出し、月○件の業務改善を提案する」

「後輩職員が一人で担当できる業務を増やし、判断方法まで伝える」

といった目標です。

評価するのは、

「自分の仕事を正確に処理した」

という個人の成果だけではありません。

「他の職員も仕事ができる状態をつくった」
「業務時間を削減した」
「ノウハウを事務所へ残した」
「新人の成長を支援した」

という組織への貢献も評価します。

「自分ができる」から「他の職員もできる」へ。

職員個人の経験を事務所全体の能力へ変えていく行動を評価することがポイントです。

今回の東京都・従業員16名の社労士事務所では、

定型業務の標準化
業務マニュアルの整備
確認項目の整理
顧問先情報の共有
問い合わせ事例の蓄積
業務進捗の見える化
システム連携の見直し
業務改善
後輩育成
人事評価と賞与への連動

などに取り組みました。

その結果、

・職員の属人化解消に対する意識が高まった
・定型業務を他の職員へ引き継ぎやすくなった
・顧問先への対応品質を安定させやすくなった
・繁忙期の業務負荷を見直しやすくなった
・業務効率の改善につながった
・会社が抱えていた課題の改善につながった

という変化が生まれました。

そして最終的に、

売上は4,000万円増加、
利益は2,000万円増加

につながりました。

ただし、同じ取り組みを行えば、すべての事務所で同じ売上や利益の増加が実現するという意味ではありません。

成果は、顧問先数、契約単価、業務内容、職員数、業務量、市場環境などによって異なります。

今回の事例で重要なのは、

「マニュアルを作ったから売上が増えた」

と単純に考えることではありません。

業務の標準化、情報共有、システム活用、職員育成、人事評価をつなげ、事務所全体で継続的に改善できる状態を目指した点です。

この考え方は、社労士事務所だけに限りません。

税理士事務所
会計事務所
行政書士事務所
司法書士事務所
コンサルティング会社
人事・労務支援会社
営業支援会社
IT・システム開発会社
製造業
建設業

など、特定の社員や職員に業務・顧客情報・ノウハウが集中している企業にも応用できます。

全国のさまざまな業種の企業に対応できます。

「顧客が増えるほど職員が忙しくなる」
「ベテラン職員に仕事が集中している」
「担当者が休むと顧問先対応に困る」
「マニュアルを作っても活用されない」
「採用せずに、まず現在の業務効率を改善したい」

このようなお悩みがある場合には、

「誰を増やすか」

だけではなく、

「現在の仕事のうち、仕組みにできる仕事は何か」

という視点から事務所を見直してみる方法があります。

属人化の解消とは、経験豊富な職員を必要なくすることではありません。

その職員が持つ知識や経験を事務所全体へ広げ、本人も、より専門性の高い相談や顧客支援に力を使える状態をつくることです。

ご相談はこちらからお送りいただけます。

Q
なぜ社労士事務所では業務が属人化しやすいのですか?
A

定型業務が多い一方、顧問先ごとの個別事情や相談対応もあり、顧客情報や判断方法が担当職員に蓄積されやすいためです。共通業務と個別判断を分け、業務手順や対応履歴を共有することで属人化を減らせます。

Q
社労士事務所では、どの業務から標準化するとよいですか?
A

繰り返し発生し、手順を整理しやすい定型業務から始める方法があります。依頼受付、必要情報の確認、進捗管理、顧問先への連絡、対応履歴の記録などを整理すると、担当者による業務のばらつきを減らしやすくなります。

Q
マニュアルを作れば属人化は解消できますか?
A

マニュアルを作るだけでは十分ではありません。顧問先情報、過去の対応履歴、判断事例、業務進捗なども共有し、実際の仕事の中でマニュアルが使われ、継続的に更新される仕組みをつくることが重要です。

Q
システム導入で社労士事務所の業務効率は改善できますか?
A

改善につながる可能性がありますが、導入前に業務そのものを整理することが大切です。不要な作業、重複入力、標準化できる業務、自動化できる業務を確認したうえでシステムを活用すると、工数削減につなげやすくなります。

Q
属人化解消を人事評価へどう反映すればよいですか?
A

個人の処理件数だけでなく、マニュアル改善、業務時間の削減、問い合わせ事例の共有、後輩育成などを具体的な職員目標に設定する方法があります。個人の知識や経験を事務所全体へ広げる行動を評価することがポイントです。

土山 誠
経営アドバイザー合同会社 代表

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