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イベント会社の社員の属人化の解決方法

イベントの企画・運営では、企画づくりから会場準備、制作物、スタッフ手配、物販、当日運営まで、多くの業務を限られた期間の中で進める必要があります。

さらに案件ごとに内容や会場、来場者、関係者が異なるため、

「経験豊富な社員に仕事が集中する」
「案件ごとに進め方が変わる」
「直前になると確認や修正が一気に増える」
「過去の成功事例が次のイベントに十分活かされない」
「忙しくなるほど新しい案件を受けにくくなる」

という課題が起こることがあります。

今回ご紹介するのは、福岡県でイベントの企画・運営を行う従業員18名の企業で、企画・制作・準備・当日運営までの仕事を見直した事例です。

目指したのは、イベントを画一的にすることではありません。

企画の独自性や現場での柔軟な対応は大切にしながら、毎回共通して行う業務を標準化し、担当者の経験を会社全体で活用できる組織づくりを進めました。

今回のお客様は、福岡県でイベントの企画・運営を行う従業員18名の企業です。

大きな経営課題となっていたのが、企画・制作・運営に必要な工数の増加と、案件ごとに仕事の進め方が担当者へ依存していたことでした。

【お客様の課題】

企画から当日運営までの業務が多く、
社員の工数が不足しやすい。

イベントごとに進め方が異なり、
担当者の経験に頼る仕事が多い。

準備段階の確認事項が多く、
直前になって修正や追加対応が発生しやすい。

物販などの管理業務についても、
担当者の経験に依存する部分がある。

経験豊富な社員のノウハウが、
他の社員へ十分に共有されていない。

案件が増えるほど社員の負担も増え、
新しい仕事へ対応する余力が不足しやすい。

この状態では、売上を伸ばすために案件を増やしても、同じように業務量が増えてしまいます。

その結果、

案件増加

企画・準備業務の増加

社員の工数不足

確認漏れや手戻りの増加

新規案件へ使える時間の減少

という状況になりかねません。

そこで「さらに忙しく働く」のではなく、「一度経験した仕事を次のイベントで活用できる仕組み」をつくる方向から改善を進めました。

イベントは一つとしてまったく同じものではありません。

目的
会場
規模
来場者
出演者
制作物
スタッフ数
当日の進行
物販の有無

など、案件によって条件が変わります。

そのため経験豊富な社員ほど、

「この規模なら早めにここを確認した方がよい」
「この会場ではこの準備が必要になる」
「この進行ならここで時間に余裕を持たせる」

といった判断ができるようになります。

これは会社にとって大切なノウハウです。

しかし、その判断が本人の頭の中だけにあると、他の社員は同じ経験を一から積まなければなりません。

イベントの個性と仕事の属人化は分けて考える

イベント会社にとって、企画力や現場対応力は大きな強みです。

その部分まで一律にする必要はありません。

一方で、

顧客から要望を聞く
企画内容を整理する
スケジュールを作る
必要な制作物を確認する
会場やスタッフを手配する
物販を準備する
当日の役割を決める
終了後に振り返る

といった基本的な仕事の流れは整理できます。

「イベントごとに企画を変えること」と「仕事の進め方まで毎回一から考えること」は別の問題です。

自社に次のような状態がないか確認してみてください。

1.企画の進め方が担当社員によって大きく異なる
2.見積りや必要工数の判断が一部の社員に集中している
3.イベント準備の確認事項が担当者の記憶に頼っている
4.制作物の依頼や確認で手戻りが発生することが多い
5.会場・スタッフ・関係者との調整方法が担当者任せになっている
6.物販の準備・在庫・当日の管理方法が統一されていない
7.イベント直前に確認や修正が集中する
8.経験豊富な社員がいないと当日運営に不安がある
9.過去の成功・失敗事例が次の案件に十分活かされていない
10.案件を増やすほど社員が忙しくなり、新しい仕事を受けにくくなる

複数当てはまる場合には、

「さらに人を増やす」

ことだけでなく、

「現在の仕事の中で、毎回一から行わなくてもよい業務は何か」

という視点で見直すことが大切です。

1.イベント業務全体を見える化する

問い合わせから企画、準備、当日運営、振り返りまでの仕事を洗い出しました。

2.企画段階の基本確認項目を整理する

目的、対象者、規模、予算、会場など、企画前に確認する基本項目を共有しました。

3.イベントごとのスケジュールを見える化する

開催日から逆算し、「いつまでに何を決めるか」を整理しました。

4.制作物の依頼・確認方法を標準化する

必要な制作物、担当者、期限、確認者を明確にしました。

5.会場・スタッフなどの手配業務を整理する

手配漏れを防ぐため、必要な確認事項をチェックできるようにしました。

6.物販業務の基本手順を整理する

商品準備、数量確認、当日の管理、終了後の確認などを見える化しました。

7.当日運営の役割と判断基準を共有する

誰が何を担当し、問題が起きた場合に誰が判断するかを明確にしました。

8.成功・失敗事例を蓄積する

うまくいった方法だけでなく、トラブルや手戻りの原因も次の案件へ残しました。

9.業務マニュアルを新人教育にも活用する

マニュアルを作るだけでなく、他の社員が実際に仕事を担える状態を目指しました。

10.標準化とノウハウ共有を人事評価につなげる

イベント業務の効率を高めるためには、当日の運営だけでなく、その前後を含めた仕事全体を見ることが大切です。

例えば、

問い合わせ・相談

イベント目的の確認

対象者・規模・予算の確認

企画案の作成

提案・見積り

受注

開催までの工程作成

会場・関係者の確認

制作物の準備

スタッフの手配

必要備品の確認

物販準備

当日の役割分担

最終確認

設営

イベント運営

撤収

売上・在庫などの確認

顧客との振り返り

社内で成功・改善点を共有

という流れです。

この流れを見える化すると、

どの段階で仕事が集中しているのか
なぜ直前に修正が増えるのか
どの業務で確認漏れが起きやすいのか
どの仕事が特定社員に集中しているのか
どこをマニュアル化できるのか

を確認しやすくなります。

「直前に頑張る」から「前もって防ぐ」へ

イベントでは開催日を動かせないケースが多いため、直前のトラブルは社員の負担につながりやすくなります。

そこで、

開催30日前に確認すること
14日前に確認すること
7日前に確認すること
前日に確認すること
当日に確認すること

など、時期ごとのチェック項目を整理します。

経験豊富な社員が頭の中で行っていた「先回り」を会社の仕組みにすることで、確認漏れや直前対応を減らしやすくなります。

イベントが終了すると、すぐに次の案件へ移る会社も少なくありません。

しかし、イベント終了直後には会社にとって重要な情報があります。

例えば、

どの企画が来場者に好評だったか
準備に想定以上の時間がかかった業務は何か
どこで手戻りが発生したか
当日にどのような問題が起きたか
物販では何が動いたか
どの役割分担がうまく機能したか
顧客から何を評価されたか

などです。

「イベントを終える」だけでなく「会社に経験を残す」

イベント終了後に、

企画
制作
準備
物販
当日運営
顧客対応

などについて短時間でも振り返ります。

「何が起きたか」だけではなく、

「なぜうまくいったのか」
「なぜ問題が起きたのか」
「次回は何を変えるのか」

まで整理します。

これによって、一人の社員が得た経験を次のイベントで別の社員も活用できるようになります。

マニュアルは企画を縛るものではない

イベント会社では、

「標準化すると企画が面白くなくなるのではないか」

という心配もあります。

しかし、標準化するのは企画のアイデアそのものではありません。

準備手順、確認事項、情報共有、役割分担など、繰り返し行う仕事です。

共通業務を効率化できれば、社員は企画や顧客との対話など、人にしかできない仕事へより多くの時間を使いやすくなります。

業務の標準化は、マニュアルを作った時点で終わりではありません。

実際に社員が使い、次のイベントで改善し続けることが重要です。

そこで今回の支援では、

会社の経営課題

社員の具体的な目標

日々の改善行動

達成度の確認

人事評価

賞与への反映

という流れを整えました。

例えば、

「準備業務が担当者に依存している」

という課題なら、

「担当したイベントの準備項目を整理し、他の社員も利用できるチェックリストを作成する」

という目標にできます。

「直前の修正が多い」

という課題なら、

「イベント終了後に手戻りの原因を記録し、次回の事前確認項目へ反映する」

という目標にできます。

「物販管理が属人化している」

という課題なら、

「物販の準備・数量確認・当日管理・終了後確認の手順を整理する」

という目標にできます。

「新人が一人で案件を担当できない」

という課題なら、

「自分が担当する業務を後輩へ教え、○項目を一人で行える状態にする」

という目標にできます。

評価するのは、

「自分のイベントを成功させた」

という個人の成果だけではありません。

「成功方法を他の社員へ共有した」
「同じミスが起きない仕組みをつくった」
「自分の仕事を他の社員もできるようにした」
「後輩を育成した」

という組織への貢献も評価します。

個人の経験を会社の能力へ変える行動を評価することで、属人化を解消する取り組みを継続しやすくします。

今回の福岡県・従業員18名のイベント企画・運営会社では、

業務全体の見える化
企画段階の確認項目の整理
スケジュール管理の標準化
制作物の依頼・確認方法の整理
会場・スタッフ手配の標準化
物販業務の整理
当日運営の役割分担
成功・失敗事例の共有
業務マニュアルと新人教育の連動
人事評価と賞与への連動

などに取り組みました。

その結果、

・社員の属人化解消に対する意識が高まった
・企画から運営までの業務を共有しやすくなった
・担当者以外でも確認できる仕事を増やしやすくなった
・過去のイベントで得た経験を次の案件へ活用しやすくなった
・準備や物販などの業務を見直しやすくなった
・会社が抱えていた課題の改善につながった

という変化が生まれました。

結果として、

売上は4,000万円増加、
利益は2,000万円増加

につながりました。

ただし、同じ取り組みを行えば、すべての企業で同じ売上・利益の増加が実現するという意味ではありません。

成果は、案件数、イベント規模、社員数、顧客構成、市場環境などによって異なります。

今回の事例で重要なのは、

「すべてのイベントを同じ形にする」

ことではありません。

イベントごとの個性や柔軟な対応を残しながら、

「毎回一から考えなくてもよい仕事」

を会社の仕組みにすることです。

この考え方はイベント会社だけでなく、

広告・PR
動画制作
Web制作
デザイン
店舗運営
営業支援
人材・採用支援
システム開発
製造業
建設業

など、営業・企画・制作・現場運営のノウハウが特定社員に集中している企業にも応用できます。

全国のあらゆる業種の企業に対応できます。

「イベントごとに仕事の進め方が変わる」
「経験豊富な社員に案件が集中している」
「開催直前になると残業や確認作業が増える」
「物販や準備で機会損失が起きている」
「新人が一人で案件を担当できるまで時間がかかる」
「案件を増やしたいが、今以上に社員が忙しくなるのが心配」

このようなお悩みがある場合には、

「もっと人を増やすにはどうするか」

だけではなく、

「これまでのイベントで得た経験を、次の案件でどれだけ再利用できているか」

という視点から仕事の仕組みを見直してみる方法があります。

ご相談はこちらからお送りいただけます。

Q
イベント会社では、なぜ業務が属人化しやすいのですか?
A

イベントごとに目的、規模、会場、制作物、スタッフなどの条件が異なり、企画・準備・当日運営で担当者の経験が必要になりやすいためです。個別の企画は残しながら、共通する業務プロセスや確認項目を標準化することで属人化を減らせます。

Q
イベント会社では、どのような業務を標準化できますか?
A

顧客へのヒアリング、開催スケジュール、制作物の確認、会場・スタッフ手配、物販準備、当日の役割分担、終了後の振り返りなど、イベントごとに共通する業務を標準化できます。

Q
イベント業務を標準化すると企画力が低下しませんか?
A

企画のアイデアそのものを統一する必要はありません。標準化するのは準備手順、確認事項、情報共有などの共通業務です。繰り返し業務を効率化することで、企画や顧客対応へ時間を使いやすくなります。

Q
イベント直前の業務集中を減らすにはどうすればよいですか?
A

開催日から逆算して、30日前、14日前、7日前、前日など時期ごとの確認事項を整理する方法があります。過去に発生した手戻りやトラブルもチェック項目へ反映し、直前に問題を発見する状態から事前に防ぐ状態へ変えていくことが重要です。

Q
イベント業務の属人化解消を人事評価へどう反映すればよいですか?
A

個人の案件実績だけでなく、業務マニュアルの作成、成功・失敗事例の共有、業務改善、後輩育成、他の社員への業務移管などを具体的な社員目標に設定する方法があります。「自分ができる」だけでなく「他の社員もできる状態をつくった」という組織への貢献も評価することがポイントです。

土山 誠
経営アドバイザー合同会社 代表

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