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受託開発会社の社員の属人化の解決方法

プロダクト開発支援や受託開発を行う会社では、お客様ごとに異なる課題に対応できることが大きな強みです。

一方で、個別対応が増えるほど、

「案件ごとに提案内容を一から考えている」
「開発方法が担当者の経験に依存している」
「過去の案件で得たノウハウが次の案件に活かされていない」
「受注が増えると開発リソースが不足する」
「単発の受託案件が多く、継続的な売上につながりにくい」

という課題が生まれることがあります。

今回ご紹介するのは、神奈川県でプロダクト開発支援・受託開発を行う従業員18名の企業で、営業から開発、導入後の顧客支援までを見直した事例です。

目指したのは、受託開発の柔軟性をなくすことではありません。

お客様ごとに変えるべき部分は残しながら、共通化できる営業・開発プロセスとノウハウを会社の仕組みに変え、案件が増えても対応しやすい組織づくりを進めました。

今回のお客様は、神奈川県でプロダクト開発支援・受託開発を行う従業員18名の企業です。

実証実験や顧客との共同開発など、案件ごとに高い対応力が求められる一方、収益がプロジェクト単位になりやすく、事業を拡大するうえで複数の課題が生まれていました。

【お客様の課題】

受託案件ごとに、
営業や提案の進め方が変わっている。

案件ごとに個別対応が多く、
成果につながった方法を再現しにくい。

開発ノウハウや判断方法が、
担当社員の経験に集中している。

過去の案件で得た知識が、
次の案件へ十分に活かされていない。

案件が増えるほど開発工数も増え、
新しい案件へ対応する余力が不足しやすい。

標準化されたサービスが少なく、
単発案件から継続的な支援へつなげにくい。

その結果、せっかく新しい相談があっても、開発リソースが不足し、受注機会を十分に活かせない可能性がありました。

そこで、

「案件を増やすために人を増やし続ける」

だけではなく、

「一つの案件から得た経験を、次の案件で活用できる会社にする」

という方向から組織を見直しました。

受託開発では、お客様ごとに解決したい課題が違います。

現在の業務
事業上の課題
必要な機能
既存システム
予算
納期
利用者
将来の展開

などを確認しながら、提案や開発内容を決めていきます。

そのため、経験豊富な社員ほど、

「この課題なら、この方法が考えられる」
「この要望をそのまま作るより、別の方法がよい」
「この仕様は後から工数が増えやすい」

といった判断ができるようになります。

この経験は会社にとって大切な財産です。

問題は、その判断やノウハウが個人の中だけに残ることです。

個別開発と属人化は同じではない

お客様ごとに異なるものを開発すること自体が、属人化なのではありません。

例えば、

初回相談で確認する項目
課題の整理方法
見積り前の確認事項
開発開始前の確認
仕様変更時の記録
進捗確認
テスト
納品
振り返り

などは、案件が違っても共通化できる部分があります。

つまり、

「顧客に合わせて開発内容を変えること」

と、

「仕事の進め方や判断基準まで担当者任せにすること」

は分けて考える必要があります。

自社に次のような状態がないか確認してみてください。

1.営業や提案の進め方が担当者によって違う
2.顧客の要望を聞く項目が案件ごとに異なる
3.見積りの工数判断が一部の社員に依存している
4.開発方法や技術的な判断が担当者の中だけに残っている
5.過去案件の成功・失敗事例を探しにくい
6.仕様変更の理由や判断経緯が十分に残っていない
7.似た案件でも毎回一から検討している
8.案件が増えるほど開発リソースが不足する
9.納品後の顧客との関係が単発で終わりやすい
10.受注を増やしても工数が増え、利益が安定しにくい

複数当てはまる場合には、

「営業を増やす」
「エンジニアを増やす」

だけでなく、

「現在持っている営業・開発ノウハウを、次の案件で再利用できる状態になっているか」

を確認することが大切です。

1.問い合わせから受注までの営業プロセスを整理する

見込み顧客との接点からヒアリング、提案、見積り、受注までの流れを見える化しました。

2.初回ヒアリングの基本項目を共通化する

顧客の要望だけでなく、現在の業務や経営課題、利用者などを確認できるようにしました。

3.受注につながった理由を蓄積する

「何を提案したか」だけでなく、「なぜ顧客から選ばれたのか」まで振り返りました。

4.見積りと工数算定の判断材料を共有する

過去案件の実績を活用し、担当者の経験だけに頼らず工数を検討しやすくしました。

5.開発の基本プロセスを標準化する

設計、開発、確認、テスト、納品など、案件に共通する仕事の流れを整理しました。

6.仕様変更の内容と判断理由を記録する

「何を変更したか」だけでなく、「なぜ変更したか」まで残しました。

7.成功・失敗事例を会社の知識として蓄積する

開発中に起きた問題と解決方法を、他の社員も活用できる状態にしました。

8.繰り返し使える業務や技術を整理する

案件ごとに一から作るのではなく、再利用できる考え方、資料、手順などを整理しました。

9.納品後の顧客体験と活用状況を確認する

開発して終わりではなく、実際の利用状況や新たな課題を確認し、継続的な改善につなげました。

10.標準化・ノウハウ共有を人事評価につなげる

受託開発では、営業と開発を別々に改善するだけでは、全体の工数を減らせないことがあります。

例えば、

見込み顧客との接点

問い合わせ・相談

初回ヒアリング

現在の業務・課題の確認

実現方法の検討

必要な機能・範囲の整理

提案

工数・見積りの確認

受注

営業から開発への引き継ぎ

要件整理

設計

開発

社内確認・テスト

顧客確認

修正・調整

納品

利用開始

活用状況の確認

改善・追加支援

案件の振り返り

という一連の流れで考えます。

こうして全体を見える化すると、

どこで手戻りが発生しているか
どこに確認作業が集中しているか
なぜ見積りと実際の工数に差が出るのか
どの業務を共通化できるか
どのノウハウを次の案件へ使えるか

を確認しやすくなります。

工数削減は「仕事を速くする」だけではない

開発工数を減らすというと、社員一人ひとりの作業スピードを上げることを考えがちです。

しかし、

同じ確認を何度も行う
過去と似たものを一から考える
必要な情報がなく途中で確認する
仕様変更の経緯が分からず調べ直す

といった仕事を減らすことも重要です。

社員を急がせるのではなく、

「一度経験したことを次に活かせる会社にする」

ことで、無駄な工数を減らしていきます。

受託開発会社では、納品すると一つのプロジェクトが終了します。

そのため、新しい売上をつくるために、常に次の案件を獲得し続けなければならない状態になることがあります。

そこで大切になるのが、納品後の顧客の利用状況まで確認することです。

「納品できたか」から「顧客が活用できているか」へ

開発後には、

実際に利用されているか
使いにくい部分はないか
想定していた課題は改善しているか
新しい課題が発生していないか
追加で必要な機能はないか
別の部署でも活用できないか

などを確認します。

目的は、無理に追加提案することではありません。

開発したものが顧客にとって役立っているかを確認し、必要であれば次の改善を一緒に考えることです。

成功事例を標準化されたサービスへ近づける

複数の案件を振り返ると、

「この業種では同じ課題が多い」
「この機能は複数の顧客から求められている」
「この支援方法は他社でも活用できそうだ」

という共通点が見えてくることがあります。

その共通部分を、

基本的な支援内容
導入手順
必要な資料
標準的な期間
顧客への説明方法

として整理します。

これによって、すべてを一から設計する受託型だけでなく、再利用できるサービスやプロダクトへ発展させるための土台をつくることができます。

標準化やノウハウ共有は、経営者だけが「やってほしい」と伝えても、日常業務の中では後回しになりがちです。

そこで今回の支援では、

会社の経営課題

社員の具体的な目標

日々の改善行動

達成度の確認

人事評価

賞与への反映

という流れを整えました。

例えば、

「案件ごとに営業方法が違う」

という課題なら、

「受注案件について、顧客課題・提案内容・受注理由を毎月1件共有する」

という目標にできます。

「過去の開発ノウハウを活用できていない」

という課題なら、

「担当案件で発生した問題・原因・解決方法を記録し、月1件チームで共有する」

という目標にできます。

「仕様変更が工数増加につながっている」

という課題なら、

「仕様変更が発生した案件について、変更内容・理由・追加工数を記録する」

という目標にできます。

「似た仕事を毎回一から行っている」

という課題なら、

「担当業務から再利用できる資料・手順・仕組みを四半期に1つ作成し、実際の案件で活用する」

という目標にできます。

評価するのは、

「自分が案件を受注した」
「自分が開発を完了した」

という個人の成果だけではありません。

「自分の経験を他の社員が使えるようにした」
「過去のノウハウを次の案件へ活かした」
「開発工数を減らす仕組みをつくった」
「後輩が担当できる仕事を増やした」

という組織への貢献も評価します。

個人の経験を会社の能力へ変える行動を評価することがポイントです。

今回の神奈川県・従業員18名のプロダクト開発支援・受託開発会社では、

営業プロセスの見える化
ヒアリング項目の整理
受注理由の共有
工数算定に必要な情報の蓄積
開発プロセスの標準化
仕様変更理由の記録
成功・失敗事例の共有
再利用できるノウハウの整理
納品後の活用支援
人事評価と賞与への連動

などに取り組みました。

その結果、

・社員の属人化解消に対する意識が高まった
・営業・開発ノウハウを共有しやすくなった
・過去案件の知識を次の案件へ活用しやすくなった
・開発工数を見直しやすくなった
・再現性のある営業やサービスを考える土台が整った
・会社が抱えていた課題の改善につながった

という変化が生まれました。

結果として、

売上は5,000万円増加、
利益は2,500万円増加

につながりました。

ただし、同じ取り組みを行えば、すべての企業で同じ売上・利益の増加が実現するという意味ではありません。

成果は、案件単価、開発内容、社員数、顧客数、市場環境などによって異なります。

今回の事例で大切なのは、

「受託開発をすべて同じ形にする」

ことではありません。

顧客に合わせるべき開発や提案は残しながら、

「毎回一から考えなくてもよい部分」

を会社の仕組みに変えることです。

この考え方は受託開発会社だけでなく、

システム開発
Web制作
広告・マーケティング
動画・コンテンツ制作
営業支援
人材・採用支援
コンサルティング
製造業
建設業
その他の専門サービス

など、営業・制作・開発・技術のノウハウが特定社員に集中している企業にも応用できます。

全国のあらゆる業種の企業に対応できます。

「案件ごとに一から提案を考えている」
「受注すると開発部門が忙しくなりすぎる」
「過去の案件のノウハウが次に活かされていない」
「社員を増やしても工数不足が解消しない」
「単発の受託案件が多く、売上が安定しにくい」
「事業を拡大したいが、今の方法では人手が足りなくなる」

このようなお悩みがある場合には、

「さらに案件や社員を増やすにはどうするか」

だけではなく、

「一つの案件から得た経験を、次の案件でどれだけ活用できているか」

という視点で組織を見直してみる方法があります。

ご相談はこちらからお送りいただけます。

Q
受託開発会社では、なぜ業務が属人化しやすいのですか?
A

顧客ごとに課題や仕様が異なるため、営業・見積り・設計・開発などで担当者の経験や判断が必要になりやすいためです。個別開発を残しながら、共通する業務プロセスや判断材料を共有することで属人化を減らせます。

Q
受託開発でも業務を標準化できますか?
A

はい。顧客ごとの仕様を統一するのではなく、ヒアリング、見積り、引き継ぎ、開発、テスト、仕様変更、納品、振り返りなど、案件に共通する仕事の進め方を標準化できます。

Q
受託開発の工数不足を改善するには何から始めればよいですか?
A

まず営業から納品までの業務を見える化し、手戻り、重複作業、繰り返し発生している確認作業などを把握します。そのうえで、過去案件の資料・手順・ノウハウを再利用できる仕組みを整えることが重要です。

Q
単発の受託案件を継続的な取引につなげるにはどうすればよいですか?
A

納品後に利用状況や新しい課題を確認し、必要に応じて改善や追加支援を検討します。また、複数案件に共通する課題や支援内容を整理することで、継続支援や再利用できるサービスを検討しやすくなります。

Q
受託開発の属人化解消を人事評価へどう反映すればよいですか?
A

個人の受注額や開発実績だけでなく、業務の標準化、開発ノウハウの共有、再利用できる仕組みづくり、工数改善、後輩育成などを具体的な社員目標に設定する方法があります。個人の経験を会社全体で再利用できる状態にした行動も評価することがポイントです。

土山 誠
経営アドバイザー合同会社 代表

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