
複数サービスの提案を標準化し、ナレッジ共有と人事評価で
「担当者に頼る営業」から「組織で受注できる営業」へ
ブランディング戦略立案の仕事は、企業ごとに課題や方向性が異なるため、高度な提案力や企画力が求められます。
採用支援会社で営業が属人化する原因と解決方法|受注の再現性を高める仕組みづくり
大阪府の採用支援会社(従業員27名)では、企業の採用課題に対して複数のサービスを組み合わせ、ワンストップで支援していました。
幅広い採用課題に対応できることは大きな強みです。
しかし一方で、サービスの選択肢が多いほど、お客様の課題を聞いてから提案・受注するまでの判断が営業担当者の経験に依存しやすくなります。
この企業でも、次のような課題が生じていました。
・お客様によって営業の進め方が異なる
・営業担当者によって提案するサービスが異なる
・商談から受注までの営業導線が統一されていない
・担当者によって成約率にばらつきがある
・重要な顧客対応が一部社員へ集中している
・成功した営業方法や顧客対応が十分に共有されていない
・業務委託を含むメンバーへノウハウを共有しにくい
・新しい人材が仕事を覚えるまでに時間がかかる
・担当者が不在になると顧客対応が滞ることがある
・営業や顧客対応の属人化によって機会損失が生じている
そこで、受注プロセスと顧客接点の標準化、ナレッジ共有、オンボーディングの強化を進め、その取り組みを人事評価制度とも連動させました。
その結果、社員の属人化解消への意識が高まり、最終的には売上6,000万円、利益3,000万円の増加につながりました。
採用支援会社で営業が属人化しやすい理由
採用支援会社では、お客様によって採用課題が大きく異なります。
「応募者を増やしたい」
「求める人材から応募が来ない」
「採用しても社員が定着しない」
「採用担当者の負担を減らしたい」
など、相談内容はさまざまです。
さらに、複数のサービスを提供している企業では、お客様の課題に応じてサービスを組み合わせる必要があります。
この柔軟性は大きな強みですが、営業プロセスが整理されていない場合、
「このお客様には何を提案するのか」
「どの順番で説明するのか」
「どのタイミングで次のサービスを提案するのか」
といった判断が担当者個人に任されます。
その結果、同じような相談を受けても、担当する社員によって提案内容や成約率が変わる状態が生まれます。
これが採用支援会社で起こりやすい営業の属人化です。
営業の属人化が売上と利益の機会損失につながる
営業の属人化で注意したいのは、単に「営業担当者によって成績が違う」という問題だけではありません。
成果を出している社員が持っている知識や経験を他の社員が利用できなければ、会社全体の営業力がなかなか高まりません。
たとえば、優秀な営業担当者は、
「この課題なら最初にこの質問をする」
「このような企業にはこの事例を紹介する」
「この悩みが出てきたら、このサービスを提案する」
「このタイミングで次回商談につなげる」
といった判断を経験から行っています。
ところが、その判断基準が本人の頭の中だけにあると、その社員が対応できる案件数が会社の成長限界になってしまいます。
さらに、業務委託を含む組織では、雇用形態や担当範囲が異なる人材の間でも、必要な情報を共有できる仕組みが重要になります。
「優秀な人を増やす」だけではなく、「優秀な人の考え方や成功方法を組織で利用できるようにする」という視点が必要です。
実施した属人化を解消する10の取り組み
今回の企業では、営業担当者の個性や提案力を失わせるのではなく、成果につながる基本的なプロセスを会社の仕組みにすることを目指しました。
1.受注までの営業プロセスを見える化する
問い合わせ、初回相談、ヒアリング、提案、見積もり、クロージング、受注までの流れを整理しました。
まず「現在どのように営業しているのか」を見えるようにすることが出発点です。
2.顧客の採用課題を分類する
お客様から寄せられる相談を分類し、代表的な課題ごとに必要な確認事項を整理しました。
これによって、担当者が変わっても重要な課題を確認しやすくなります。
3.ヒアリング項目を標準化する
成果を出している営業担当者が商談で確認している内容を整理し、基本的なヒアリング項目を共有しました。
4.課題とサービスの関係を整理する
「この課題なら、このサービスを提案する」という基本的な考え方を整理しました。
サービスが複数ある企業ほど、この整理が重要になります。
5.提案の基本パターンを作る
すべてのお客様へ同じ提案をするのではありません。
共通部分を標準化し、お客様ごとに必要な部分だけカスタマイズできる形にしました。
6.成功した商談事例を蓄積する
受注できた案件について、顧客の課題、ヒアリング内容、提案内容、受注につながった理由などを記録します。
成功事例を単なる「実績」ではなく、次の営業で使える「営業ノウハウ」に変えていきます。
7.顧客対応のルールを共有する
重要な顧客対応を特定の社員だけが把握する状態を減らし、必要な情報を組織で確認できるようにしました。
8.ナレッジを一元化する
営業資料、成功事例、ヒアリング項目、顧客対応方法などを、社員が必要なときに確認できる状態へ整理しました。
情報が存在していても、「どこにあるのか分からない」状態では共有されているとはいえません。
9.オンボーディングを整える
新しい社員や業務に参加するメンバーが、先輩社員へ毎回聞かなくても基本的な営業方法や顧客対応を理解できる仕組みを整えました。
10.仕組みづくりへの貢献を人事評価へ反映する
ナレッジ共有、成功事例の蓄積、営業プロセスの改善、後輩育成などを社員の目標として設定しました。
そして、その達成度を賞与へ反映する人事評価制度を導入しました。
人事評価制度でノウハウ共有を社員の行動につなげる
営業マニュアルや共有フォルダを作るだけでは、属人化が解消されないことがあります。
理由はシンプルです。
日々の業務が忙しいと、社員にとってノウハウの共有やマニュアルの更新は後回しになりやすいからです。
そこで今回、
・成功事例を共有する
・商談方法を改善する
・営業資料を改善する
・顧客対応のノウハウを残す
・業務手順を整理する
・新しい社員を育成する
・組織全体の成約率向上へ貢献する
といった行動を社員の目標に組み込みました。
そして、その達成度を賞与へ反映しました。
これによって、
「自分だけが成果を出せばよい」
という状態から、
「自分の成功方法を会社に残そう」
「他の社員も成果を出せるようにしよう」
「会社全体で受注できる仕組みを作ろう」
という方向へ意識が変わっていきました。
属人化を解消するうえでは、「共有してください」とお願いするだけでなく、会社がどのような行動を評価するのかを明確にすることも大切です。
改善によって売上6,000万円・利益3,000万円増加へ
受注プロセスの標準化、ナレッジ共有、オンボーディング、人事評価制度の連動を進めた結果、営業や顧客対応の再現性が高まりました。
具体的には、
・営業プロセスが社員間で共有された
・ヒアリング内容が整理された
・提案品質のばらつきが減った
・成功事例を他の商談へ活用できるようになった
・顧客対応の属人化が減った
・ナレッジ共有が進んだ
・新しいメンバーが業務を理解しやすくなった
・組織として営業改善へ取り組む意識が高まった
こうした改善を積み重ねた結果、最終的には売上6,000万円、利益3,000万円の増加につながりました。
ただし、同じ取り組みをすれば、すべての企業で同じ売上・利益増加が生じるという意味ではありません。
企業規模、現在の営業体制、サービス内容、社員数、顧客構成などによって成果は異なります。
この事例で大切なのは、個人の能力に依存していた営業や顧客対応を、組織として再現しやすい状態へ変えていった点です。
採用支援会社以外にも活用できる考え方
今回の仕組みは、採用支援会社だけを対象にしたものではありません。
特に、
・営業が社長や一部社員に集中している
・担当者によって成約率が大きく違う
・複数サービスがあり提案方法が複雑になっている
・成功事例が共有されていない
・重要顧客を特定の社員しか対応できない
・社員や業務委託メンバーへの教育に時間がかかる
・営業ノウハウが退職とともに失われる
・新人が一人前になるまで時間がかかる
・人事評価制度が業績向上につながっていない
・会社を大きくしたいが人材育成が追いつかない
といった企業では、営業と業務の属人化を見直す価値があります。
IT企業、Web制作会社、広告会社、人材紹介会社、コンサルティング会社、士業、その他の提案型営業を行う企業でも応用できます。
属人化解消で大切なのは「人を標準化する」のではなく「成功方法を共有する」こと
属人化を解消すると聞くと、
「社員全員に同じ営業をさせるのではないか」
「マニュアルばかりになって柔軟性が失われるのではないか」
と心配される経営者の方もいらっしゃいます。
しかし、目的は社員一人ひとりの個性をなくすことではありません。
大切なのは、
・成果につながる営業プロセスを見える化する
・優秀な社員の考え方を共有する
・成功事例を会社に蓄積する
・顧客情報を組織で共有する
・新人が学びやすい仕組みを作る
・改善行動を人事評価へ反映する
ことです。
優秀な社員が持っている知識や経験を会社全体で使えるようになれば、そのノウハウは「個人の財産」から「会社の財産」へ変わります。
「営業が一部社員に依存している」
「社員によって成約率が違いすぎる」
「成功している営業方法を他の社員へ広げたい」
「業務委託を含めてノウハウを共有したい」
「人事評価制度を会社の業績向上につなげたい」
このようなお悩みがある場合は、人事評価だけを見直すのではなく、営業プロセスやナレッジ共有の仕組みと一緒に考えることが重要です。
より具体的な解決方法についての無料セミナーを開催しています
ご相談について
当社では、営業や業務が一部の社員に依存している企業に対して、属人化している業務の整理、成功事例の共有、営業プロセスの標準化、社員の目標設定、人事評価制度への反映などを支援しています。
全国の企業に対応しています。
「自社では、どの業務から属人化を解消すればよいのか」
「優秀な営業社員のノウハウをどうやって共有すればよいのか」
「社員が自主的に改善する人事評価制度を作りたい」
「営業の仕組み化を売上・利益向上につなげたい」
といった段階からでもご相談いただけます。
ご相談はこちらからお送りいただけます。
よくあるご質問 FAQ
採用支援会社は、お客様ごとに採用課題が異なり、複数のサービスから適切な提案を組み立てる必要があるためです。ヒアリングや提案の基本プロセスが整理されていないと、営業担当者の経験や判断に依存しやすくなります。
まず、問い合わせから商談、ヒアリング、提案、見積もり、受注までの現在の営業プロセスを見える化します。そのうえで、成果を出している社員のヒアリング方法や提案方法を整理し、共通化できる部分から標準化していくことが有効です。
成功した営業方法や顧客対応を他の社員が利用できるようになり、提案品質の安定、新人育成の効率化、顧客対応の属人化軽減につながります。社員の退職や異動によって重要なノウハウが失われるリスクを減らすことにも役立ちます。
ノウハウ共有や業務改善は、日々の仕事が忙しいと後回しになりやすいためです。成功事例の共有、営業資料の改善、後輩育成などを目標に設定して評価することで、組織全体の成果につながる行動を継続しやすくします。
はい。営業や顧客対応が社員の経験や知識に依存している企業であれば活用できます。IT企業、Web制作会社、広告会社、人材紹介会社、コンサルティング会社、士業など、提案型営業を行う企業にも応用できます。
この記事を書いた人

土山 誠
経営アドバイザー合同会社 代表
ブランディング戦略立案の仕事は、企業ごとに課題や方向性が異なるため、高度な提案力や企画力が求められます。
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