
顧客ごとの個別対応に追われる状態から、営業・導入・
サービス提供を仕組み化し、社員が成果を再現できる会社へ
ブランディング戦略立案の仕事は、企業ごとに課題や方向性が異なるため、高度な提案力や企画力が求められます。
AI・業務改善支援会社の属人化を減らし、サービス品質と利益率を安定させる組織づくり
AIやデジタル技術を活用した業務改善支援、オンラインスクール、コミュニティ運営などの事業では、お客様ごとの課題に合わせた柔軟な対応が大きな強みになります。
一方で、会社が成長し案件が増えてくると、
「このお客様のことは担当者しか分からない」
「提案や導入方法が社員によって違う」
「同じような案件でも、かかる時間が大きく違う」
「できる社員に仕事が集中している」
といった問題が起こりやすくなります。
これは、社員の能力が不足しているからとは限りません。
むしろ、優秀な社員が持っている経験や判断基準が、会社の仕組みとして共有されていないことが原因の場合があります。
そこで重要になるのが、個人が持っているノウハウを会社全体で活用できる状態へ変えていくことです。
今回ご紹介するのは、千葉県の従業員17名の企業で、営業やサービス提供の属人化を見直し、売上と利益の改善につながった事例です。
お客様が抱えていた課題
今回のお客様は、AIやデジタル技術の導入支援に加え、オンラインスクールやコミュニティ運営などを行っている企業です。
従業員数は17名。
企業の業務効率化や顧客との接点づくりを支援する一方で、自社の業務では「お客様ごとの個別対応」が増えていました。
お客様の課題
受託型の仕事が多く、
お客様ごとに対応内容が異なっていました。
営業担当者によって、
ヒアリングや提案方法に違いがありました。
サービス導入時の進め方も、
担当社員の経験に頼る部分がありました。
同じような案件でも、
必要な作業時間に差が生まれていました。
優秀な社員へ、
質問や判断が集中していました。
その結果、売上が増えても案件ごとの工数が安定せず、利益率を高めにくい状態になっていました。
この会社で必要だったのは、個別対応をすべてなくすことではありません。
お客様に合わせる部分は残しながら、共通化できる仕事を仕組みに変えることでした。
なぜ成長企業ほど仕事が属人化しやすいのか
AI・業務改善支援のように、お客様ごとに課題が異なる事業では、完全に同じサービスを提供することは難しいものです。
そのため、担当社員が経験を積むほど、
「この場合は、この提案がよい」
「このお客様には、この順番で説明した方がよい」
「導入時には、ここを先に確認した方がよい」
といった判断ができるようになります。
これは本来、会社にとって大切な財産です。
しかし、その判断基準が本人の頭の中だけにあると、他の社員が同じ成果を再現しにくくなります。
属人化とは何か
属人化とは、仕事の進め方、判断基準、顧客情報、成功・失敗の経験などが特定の社員に集中し、他の社員が同じように仕事を進めにくくなっている状態です。
属人化そのものが、すべて悪いわけではありません。
専門性の高い仕事では、社員一人ひとりの経験や強みが必要です。
問題になるのは、
「その人がいなければ仕事が進まない」
「成功した理由を他の社員が知らない」
「同じ仕事を別の社員が担当すると品質が大きく変わる」
という状態です。
属人化の解消で目指したいのは、優秀な社員を必要なくすることではありません。
優秀な社員が身につけた経験を、会社全体の力へ変えていくことです。
AI・業務改善支援会社で起こりやすい10の課題
成長過程にある会社では、次のような課題が重なっていることがあります。
1.営業方法が担当者によって違う
顧客への質問、課題の整理、提案内容が営業担当者の経験に左右されます。
2.ヒアリング内容が統一されていない
必要な情報を最初に確認できず、サービス提供開始後に追加確認が発生します。
3.提案書を毎回一から作っている
過去の成功事例を活用できず、似た案件でも提案資料の作成に時間がかかります。
4.サービス内容が案件ごとに大きく変わる
個別対応が増えすぎると、必要な工数を予測しにくくなります。
5.導入方法が担当者任せになっている
契約後の説明や初期設定、顧客への確認事項などが社員によって変わります。
6.できる社員へ質問が集中する
判断基準が共有されていないため、経験豊富な社員が常に確認役になります。
7.成功事例が会社に蓄積されない
成果を出しても「なぜうまくいったのか」が整理されなければ、次の案件で再現できません。
8.失敗や手戻りの原因が共有されない
同じような問題が別の担当者でも繰り返され、余分な工数が発生します。
9.案件ごとの利益率に差が出る
売上金額が同程度でも、作業時間が違えば利益は大きく変わります。
10.社員が増えても会社の処理能力が上がらない
仕事の進め方を教える仕組みがなければ、採用しても一人前になるまで時間がかかります。
こうした問題は、個々の社員の努力だけでは解決しにくいものです。
会社として「仕事の進め方」を整える必要があります。
属人化を減らすために行った10の取り組み
今回の企業では、営業からサービス提供までの流れを整理し、社員が再現できる仕組みづくりを進めました。
1.提供サービスを整理する
案件ごとにゼロから考えるのではなく、共通して提供できるサービス内容を整理しました。
2.サービスを組み合わせられる形にする
すべてを一つの商品に固定するのではなく、必要な支援を組み合わせられるようにしました。
3.顧客ヒアリング項目を整理する
顧客の現状、課題、目的、予算、スケジュールなど、最初に確認する項目を整理しました。
4.提案の基本構成をテンプレート化する
提案書を毎回一から作らず、共通部分を活用できるようにしました。
5.営業から契約までの流れを整理する
問い合わせ、ヒアリング、提案、見積もり、契約という営業プロセスを見える化しました。
6.契約後の導入手順を整理する
担当者によって導入方法が大きく変わらないよう、必要な確認事項や作業順序を整理しました。
7.成功事例を共有する
「何をしたか」だけではなく、「なぜうまくいったのか」まで共有するようにしました。
8.失敗や手戻りも共有する
問題が発生した案件について、原因と再発防止策を会社の知識として残しました。
9.案件ごとの工数を確認する
売上だけではなく、実際にどの程度の時間がかかったのかを確認できるようにしました。
10.仕組みづくりを社員目標にする
営業や導入プロセスの改善、ノウハウ共有などを社員の目標として設定し、達成度を人事評価や賞与へ反映する仕組みを整えました。
大切なのは「マニュアルを作ったから完成」と考えないことです。
他の社員が実際にその仕組みを使い、同じように仕事を進められるかを確認することが必要です。
個別対応を残しながら営業・導入を標準化する
AIや業務改善に関する支援では、お客様によって抱えている問題が異なります。
そのため、
「標準化すると、お客様に合わせた提案ができなくなるのではないか」
と心配される経営者の方もいらっしゃいます。
しかし、標準化するのは「すべての提案内容」ではありません。
共通部分と個別部分を分けます
たとえば、次の流れは共通化しやすい部分です。
問い合わせ
↓
初回ヒアリング
↓
課題整理
↓
提案
↓
見積もり
↓
契約
↓
導入準備
↓
サービス提供
↓
効果確認
↓
改善提案
この基本的な流れを整えたうえで、お客様ごとの課題に応じて提案内容を変えます。
つまり、
「お客様に合わせない」のではなく、
「お客様に合わせる前の基本部分を整える」
という考え方です。
これによって社員は、毎回ゼロから考える必要が少なくなります。
その分、お客様の課題を深く考えることや、より良い提案を考えることに時間を使いやすくなります。
サービス提供の工数を見える化して利益率を安定させる
受託型のサービスでは、売上だけを見ていると利益の問題を見落とすことがあります。
たとえば、同じ100万円の案件でも、
A案件は100時間、
B案件は150時間、
C案件は200時間、
必要だったとすれば、会社に残る利益は同じではありません。
そのため、案件終了後には、
予定していた工数
実際にかかった工数
追加作業が発生した理由
手戻りが発生した理由
次回改善できる部分
を確認します。
工数の差には「改善のヒント」があります
ある社員だけ短時間で仕事を終えているのであれば、
「なぜ早くできるのか」
を確認します。
そこに、その社員が長年身につけてきた判断方法や工夫が隠れている可能性があります。
反対に、特定の工程で毎回時間がかかっているのであれば、その工程そのものを見直します。
属人化を減らすことは、単なるマニュアル化ではありません。
個人が持っている優れた方法を見つけ、会社の仕組みに変えることで、サービス品質と利益率の安定につなげていく取り組みです。
会社の課題を社員目標と人事評価につなげる
仕組みを作っても、社員が使わなければ会社は変わりません。
そこで重要になるのが、会社の課題と社員の目標をつなげることです。
今回の企業でも、属人化の解消を単なる「業務改善活動」にせず、社員の具体的な目標として設定しました。
会社の課題から社員目標を作る
会社の課題
「顧客ごとの個別対応が多く、工数にばらつきがある」
↓
社員目標
「よくある導入パターンを整理し、他の社員も利用できるテンプレートを作る」
↓
改善行動
「成功案件と手戻り案件を振り返り、判断基準を整理する」
↓
達成度
「別の社員がテンプレートを使って案件を進められる状態になったか確認する」
↓
人事評価
「本人の成果だけでなく、会社全体が仕事を再現できる状態を作ったことも評価する」
↓
賞与
「目標の達成度を賞与へ反映する」
この仕組みで大切なのは、
「自分ができる社員」
だけを評価するのではなく、
「他の社員もできる状態を作った社員」
も評価することです。
優秀な社員にとって、ノウハウを教えることが「自分だけ損をする行動」になってはいけません。
知識を会社に残し、人を育て、仕事の再現性を高めることも大切な成果として評価することで、属人化を減らす行動を促しやすくなります。
より具体的な解決方法についての無料セミナーを開催しています
取り組み後の変化と、属人化でお悩みの企業様へ
今回の企業では、サービスの整理や導入テンプレートの作成、営業・導入プロセスの見直しに加え、それらを社員目標と人事評価につなげました。
その結果、社員の間で「自分の仕事を自分だけができる状態にするのではなく、会社に残していく」という意識が高まり、業務の属人化を減らす取り組みが進みました。
こうした組織づくりや業務改善を進めた結果として、売上は約4,000万円、利益は約2,000万円の増加につながりました。
ただし、同じ取り組みを行えば、すべての企業で同じ売上・利益の増加が実現するというものではありません。
会社の業種、社員数、現在の業務体制、顧客構成などによって、優先して改善すべき課題は異なります。
このような企業様のご相談に対応しています
営業ノウハウが一部の社員に集中している。
サービス提供方法が担当者によって違う。
お客様ごとの個別対応が増え、利益率が安定しない。
優秀な社員に質問や判断が集中している。
新人を採用しても仕事を教えるのに時間がかかる。
マニュアルを作ったものの、実際には活用されていない。
成功事例や失敗事例が会社に残っていない。
社員がノウハウを共有する仕組みを作りたい。
会社の課題を社員の目標に落とし込みたい。
業務改善や人材育成を人事評価・賞与につなげたい。
こうした課題は、AI関連企業や業務改善支援会社だけの問題ではありません。
営業、製造、建設、IT、制作、士業、介護、飲食、サービス業など、社員の経験や判断が重要になる幅広い業種で起こります。
当社では全国の企業を対象に、現在の業務を確認しながら、
「何を仕組みにするのか」
「何を社員の強みとして残すのか」
「誰が何をできる状態を目指すのか」
を一緒に整理していきます。
属人化をなくすこと自体が目的ではありません。
社員一人ひとりが積み上げてきた経験やノウハウを会社に残し、次の社員へ受け継ぎながら、さらに良い方法へ改善していける組織をつくることが目的です。
「自社の場合、どの仕事から見直せばよいのだろう」
「優秀な社員のノウハウを、どうやって他の社員へ広げればよいのだろう」
という段階からでもご相談いただけます。
ご相談はこちらからお送りいただけます。
よくあるご質問 FAQ
仕事の手順だけでなく、判断基準、顧客情報、成功・失敗の経験などが特定の社員の中に留まり、他の社員へ共有されていないことが主な原因です。
「その社員が1週間休んだら何が止まるか」「その社員が退職したら何が会社から失われるか」を確認し、影響の大きい業務から優先して見える化することが第一歩です。
できます。すべてを同じ内容にする必要はありません。ヒアリング、提案、見積もり、導入、確認、報告などの共通プロセスを標準化し、お客様ごとに判断する部分を分ける方法があります。
マニュアルを作ったことだけではなく、「他の社員がその仕事をできるようになったか」「判断基準や成功事例が会社に残ったか」まで社員目標に設定し、達成度を評価する方法があります。
営業、製造、IT、制作、建設、士業、介護、サービス業など、特定の社員の経験・技術・顧客情報・判断に仕事が依存している企業で特に重要です。社員数や業種にかかわらず、担当者が不在になると仕事が止まる業務があれば、見直す価値があります。
この記事を書いた人

土山 誠
経営アドバイザー合同会社 代表
ブランディング戦略立案の仕事は、企業ごとに課題や方向性が異なるため、高度な提案力や企画力が求められます。
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