
担当者に集中する制作ノウハウを会社の仕組みに変える
制作工程の標準化・テンプレート化と人事評価の連動で
売上5,000万円・利益2,500万円増加につながった事例
ブランディング戦略立案の仕事は、企業ごとに課題や方向性が異なるため、高度な提案力や企画力が求められます。
クリエイティブ制作会社の属人化を減らし、案件ごとの工数と利益を安定させる組織づくり
アニメーションやクリエイティブ制作を行う会社では、社員一人ひとりの経験や感性、技術力が大きな強みになります。
一方で、その強みが特定の社員だけに蓄積されると、
「この案件は、この社員でなければ任せられない」
「担当者によって制作時間が大きく違う」
「案件が増えるほど経験豊富な社員に仕事が集中する」
「売上は増えているのに、思ったほど利益が残らない」
といった制作の属人化が起こりやすくなります。
特に制作会社では、案件ごとに求められる表現や内容が異なるため、
「クリエイティブな仕事だから標準化は難しい」
と考えられがちです。
しかし、作品そのものを画一化する必要はありません。
企画、打ち合わせ、制作準備、確認、修正、納品など、共通化できる工程を整理することで、クリエイティブの良さを残しながら業務の再現性を高めることができます。
ここでは、静岡県の従業員20名のクリエイティブ制作会社の事例をもとに、制作ノウハウの属人化を減らし、案件ごとの工数と利益を安定させる組織づくりについてご紹介します。
お客様が抱えていた課題
今回ご相談いただいたのは、静岡県でアニメーションをはじめとするクリエイティブの企画・制作・マーケティング支援を行っている従業員20名の会社です。
高い制作力を持っている一方で、
制作方法や判断基準が、
担当者個人の経験やノウハウに、
依存しやすい状態になっていました。
そのため、
同じような案件であっても、
担当者によって制作の進め方が異なり、
ノウハウを再現しにくいことが課題でした。
また、
案件ごとに制作方法を考える部分が多く、
想定以上に工数が増える案件もあり、
利益率を圧迫する要因になっていました。
さらに、
経験豊富な社員に難しい案件が集中すると、
その社員の負担が増え、
新しい案件を受けにくくなる可能性もあります。
そこで、
「個人の制作ノウハウを会社に残す」
「共通化できる制作工程を標準化する」
「繰り返し使える部分をテンプレート化する」
ことで、案件が増えても工数と品質を管理しやすい組織へ変えていくことが経営課題となりました。
なぜクリエイティブ制作会社では属人化が起こりやすいのか
クリエイティブ制作は、社員の経験や技術、発想力が成果物の品質に大きく関わる仕事です。
そのため、一般的な事務作業などと比べても、担当者の能力に依存しやすい傾向があります。
制作方法が個人の経験に蓄積される
経験豊富な社員は、
「この場合はこの進め方がよい」
「この段階でお客様に確認した方がよい」
といった判断を自然に行っています。
しかし、その判断基準が言語化されていなければ、他の社員が同じように対応することは難しくなります。
案件ごとに一から考える部分が多い
クリエイティブ制作では案件ごとの違いが大きいため、すべてを個別対応しようとしがちです。
その結果、本来は共通化できる作業まで毎回一から行い、工数が増えてしまうことがあります。
工数の増加が利益を圧迫する
受注金額が同じでも、制作時間が想定より増えれば利益は減少します。
そのため制作会社では、「いくらで受注したか」だけではなく、「どれだけの工数で完成したか」を確認することも大切です。
クリエイティブ制作会社で起こりやすい10の課題
1.特定の社員に制作が集中する
難しい案件ほど経験豊富な社員に仕事が集まり、負担が偏ります。
2.担当者によって制作方法が違う
同じような案件でも、制作手順や確認方法に違いが生まれます。
3.成功した制作ノウハウが共有されない
品質の高い仕事ができても、その方法が個人の経験だけで終わってしまいます。
4.案件ごとに一から制作方法を考える
過去の案件で使った方法を再利用できず、必要以上に時間がかかります。
5.制作工数を予測しにくい
標準的な工程や工数が整理されていないと、受注前に必要な時間を判断しにくくなります。
6.修正回数が増えやすい
顧客との確認方法が決まっていないと、制作後半で大きな修正が発生する場合があります。
7.案件によって利益率が大きく変わる
想定以上に制作時間が増えることで、売上は確保できても利益が残りにくい案件が生まれます。
8.新人育成に時間がかかる
制作工程や判断基準が整理されていないため、仕事を覚えるまで経験に頼る部分が多くなります。
9.案件を増やすほど社員が忙しくなる
業務の再現性が低いまま受注を増やすと、売上とともに制作工数も増えてしまいます。
10.会社に制作ノウハウが残らない
社員の異動や退職によって、長年蓄積した制作ノウハウまで失われる可能性があります。
制作の属人化を減らす10の取り組み
今回の支援では、制作工程を標準化・テンプレート化し、個人に蓄積されたノウハウを会社の仕組みに変えることを目標にしました。
1.現在の制作工程を見える化する
受注から企画、制作、確認、修正、納品まで、現在の仕事の流れを整理します。
2.成果を出している社員の進め方を確認する
経験豊富な社員が、どの段階で何を確認し、どのように判断しているのかを言語化します。
3.案件に共通する工程を抽出する
案件ごとに異なる部分と、ほとんどの案件で共通している部分を分けます。
4.制作工程を標準化する
共通する工程について、基本となる順番や確認事項を決めます。
5.ヒアリング項目をテンプレート化する
制作前に確認する目的、ターゲット、希望、納期などを整理し、確認漏れを減らします。
6.繰り返し作業をテンプレート化する
企画書、進行表、確認資料、報告書など、再利用できるものを会社の共通資産として整えます。
7.工程ごとの標準工数を把握する
どの工程にどの程度の時間が必要なのかを確認し、見積もりや案件管理に活用します。
8.案件終了後に工数を振り返る
予定工数と実際の工数を比較し、時間が増えた原因を確認します。
9.標準化を社員の目標にする
マニュアル作成、テンプレート整備、工数削減などを具体的な社員目標として設定します。
10.達成度を人事評価と賞与につなげる
自分自身が良い作品をつくるだけでなく、他の社員も成果を再現できる仕組みをつくった行動を評価し、その達成度を賞与に反映します。
制作工程を標準化し、案件ごとの工数と利益を見える化する
制作会社の属人化を減らすためには、「良い作品が完成したか」だけで終わらせず、その作品がどのような工程で完成したのかを会社に残すことが大切です。
例えば、
顧客の目的を確認する
↓
必要な制作内容を整理する
↓
制作工程を決める
↓
必要な工数を見積もる
↓
制作する
↓
途中段階で確認する
↓
修正する
↓
納品する
↓
実際の工数を確認する
↓
次の案件に改善点を活かす
という流れをつくります。
特に重要なのが、
「見積もった工数」
と
「実際にかかった工数」
の比較です。
例えば、40時間で完成すると想定していた案件に80時間かかった場合、単に、
「今回は大変だった」
で終わらせないことが大切です。
なぜ工数が増えたのかを確認します。
顧客との認識にずれがあったのか。
制作途中の確認が不足していたのか。
修正回数が多かったのか。
担当者しかできない作業があったのか。
毎回一から作成しているものがあったのか。
原因が分かれば、次の案件で改善できます。
この振り返りを繰り返すことで、案件を重ねるほど会社にノウハウが蓄積される状態を目指せます。
そして、制作工数が予測しやすくなれば、適切な価格設定や案件選定にも活かしやすくなり、利益の安定にもつながります。
会社の制作課題を社員目標と人事評価につなげる
制作の属人化を減らすために、
「マニュアルを作りましょう」
「ノウハウを共有しましょう」
と伝えるだけでは、納期のある日々の制作業務が優先され、仕組みづくりが後回しになりがちです。
そこで、
会社の経営課題
↓
社員の具体的な目標
↓
日々の改善活動
↓
達成度の確認
↓
人事評価
↓
賞与への反映
という流れをつくります。
例えば、
「制作が属人化している」
という会社の課題を、
「制作工程を標準化する」
「ヒアリングシートを作成する」
「制作テンプレートを整備する」
「案件ごとの予定工数と実績工数を記録する」
「成功した制作方法を社内で共有する」
といった具体的な社員目標へ変えます。
これにより社員にも、
「会社が何を改善したいのか」
「自分のどのような行動が評価されるのか」
が分かりやすくなります。
また、
「自分が高品質な作品をつくる」
という成果だけでなく、
「自分の制作ノウハウを他の社員も使える形にする」
という行動も評価します。
個人の技術や経験を奪うのではなく、その価値を会社全体へ広げる考え方です。
売上5,000万円・利益2,500万円増加につながった事例
今回の静岡県・従業員20名のクリエイティブ制作会社では、2025年7月9日から、制作工程の標準化とテンプレート化によって再現性を高める取り組みを進めました。
さらに、制作の属人化を減らし、会社にノウハウを残すことを社員の具体的な目標として設定し、その達成度を賞与へ反映する人事評価の仕組みを取り入れました。
取り組みを進める中で、社員にも、
「自分だけができる仕事にするのではなく、他の社員も再現できる形でノウハウを残す」
という意識が高まり、制作の属人化をはじめとする会社の課題改善につながりました。
その結果として、
売上は5,000万円増加、
利益は2,500万円増加
につながりました。
もちろん、制作工程を標準化したり、人事評価制度を導入したりすれば、すべての企業で同じ結果になるという意味ではありません。
大切なのは、
「どの工程に時間がかかっているのか」
「なぜ担当者によって工数が違うのか」
「どのノウハウを会社全体で共有できるのか」
「どこまで標準化し、どこを個人の創造性に任せるのか」
を自社に合わせて整理することです。
この事例が参考になりやすい企業
アニメーションやクリエイティブ制作会社だけではありません。
制作業務が一部の社員に集中している
担当者によって制作工数が大きく違う
案件ごとに毎回一から作業している
経験豊富な社員に難しい案件が集中する
制作ノウハウが社内で共有されていない
新人が仕事を覚えるまで時間がかかる
案件が増えるほど社員の残業も増えている
売上は増えているのに利益が残りにくい
営業や制作のノウハウを会社に残したい
といった企業にも参考にしていただきやすい考え方です。
制作だけでなく、営業、生産、技術、顧客対応などのノウハウが特定の社員に集中している企業であれば、全国・業種を問わず応用できます。
より具体的な解決方法についての無料セミナーを開催しています
制作の属人化や人事評価についてご相談いただけます
「特定の社員に制作業務が集中している」
「案件によって想定以上に工数が増えてしまう」
「売上を増やしているのに利益が残りにくい」
「経験豊富な社員のノウハウを会社に残したい」
「制作工程を標準化したいが、何から始めればよいか分からない」
「クリエイティブの良さを残しながら業務を効率化したい」
「会社の課題解決を社員自身の目標にしたい」
このようなお悩みがありましたら、現在の制作工程や業務の流れを整理するところからご相談いただけます。
制作の属人化を減らすことは、社員一人ひとりの個性や創造性をなくすことではありません。
大切なのは、
「共通化した方がよい仕事」
と
「人の経験や創造性を活かした方がよい仕事」
を分けることです。
繰り返し行う業務や確認作業を標準化できれば、社員は企画や表現など、人だからこそ価値を生み出せる仕事に、より多くの時間を使えるようになります。
そして、社員が生み出した優れたノウハウを会社の仕組みとして蓄積することで、案件が増えても品質・工数・利益を管理しやすい組織を目指せます。
クリエイティブ制作会社に限らず、営業、制作、生産、技術、顧客対応などの属人化にお悩みの企業にも対応しています。
全国・業種を問わずご相談いただけます。
ご相談はこちらからお送りいただけます。
よくあるご質問 FAQ
制作方法、作業手順、品質判断、顧客対応などが特定の社員の経験や感覚に依存し、その社員以外では同じ品質や工数で仕事を再現しにくい状態です。
はい。作品の表現そのものを統一する必要はありません。ヒアリング、企画準備、制作進行、確認、修正、納品など、共通化できる工程を標準化することで、創造性を残しながら業務の再現性を高められます。
案件の売上だけでなく、予定していた制作工数と実際にかかった工数を確認することが重要です。工数が増えた工程と原因を把握し、標準化やテンプレート化、見積もり方法の改善につなげます。
経験豊富な社員の仕事を工程ごとに分け、判断基準や確認事項を言語化します。再利用できる部分をマニュアルやテンプレートとして蓄積し、案件終了後の振り返りで継続的に改善する方法があります。
はい。営業、生産、技術、顧客対応など、特定の社員に経験やノウハウが集中している企業であれば、業種を問わず応用できる考え方です。
この記事を書いた人

土山 誠
経営アドバイザー合同会社 代表
ブランディング戦略立案の仕事は、企業ごとに課題や方向性が異なるため、高度な提案力や企画力が求められます。
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