
焙煎・接客・仕入れを標準化し、職人の経験を会社の仕組みへ。人事評価と連動して売上4,000万円・利益2,100万円増加につながった事例
ブランディング戦略立案の仕事は、企業ごとに課題や方向性が異なるため、高度な提案力や企画力が求められます。
コーヒー豆販売会社の属人化を解消し、品質を守りながら事業を拡大する方法
「焙煎のできる社員が限られている」
「スタッフによって接客や商品の説明に差がある」
「店長やベテラン社員が休むと仕事が回りにくい」
「店舗を増やしたいが、同じ品質を維持できるか不安」
「卸売を増やしたいが、今の人数では対応しきれない」
コーヒー豆の焙煎・小売・卸売を行う企業では、このようなお悩みが起こることがあります。
今回ご紹介するのは、大阪府でコーヒー豆の焙煎、小売、卸売を行う従業員16名の企業です。
専門性の高い焙煎技術や丁寧な接客が強みである一方、その技術や判断が一部の経験豊富な社員に依存し、店舗運営や品質管理の属人化が課題となっていました。
そこで、焙煎・接客・仕入れなどの業務を標準化・マニュアル化し、「特定の人にしかできない仕事」を減らす取り組みを社員の目標に設定。その達成度を人事評価と賞与へ反映しました。
その結果、社員の属人化解消に対する意識が高まり、会社の課題改善が進み、売上4,000万円、利益2,100万円の増加につながりました。
お客様が抱えていた課題
大阪府でコーヒー豆の焙煎・小売・卸売を行う従業員16名の企業です。
焙煎技術や商品知識、接客力を活かしてお客様へ価値を提供できることが強みでした。
一方で、専門性の高い仕事だからこそ、経験豊富な社員へ知識や判断が集中していました。
具体的には、
・焙煎方法が担当者の経験に依存している
・豆の状態を判断できる社員が限られている
・スタッフによって商品説明に差がある
・接客方法が社員ごとに異なる
・仕入れ判断が一部社員に集中している
・新人が仕事を覚えるまで時間がかかる
・担当者が休むと対応できない業務がある
・店舗を増やすと品質にばらつきが出る可能性がある
・卸先が増えるほど業務負荷が大きくなる
・売上を増やしても人件費や作業時間が増えやすい
という課題がありました。
そこで、優秀な社員の技術を奪うのではなく、その経験を他の社員も活用できる「会社の財産」へ変えることを重要な課題としました。
コーヒー豆販売会社で属人化が起こりやすい理由
コーヒー豆の焙煎では、単に決められた時間だけ加熱すればよいわけではありません。
豆の種類や状態、焙煎度合いなどを見ながら判断する経験が求められます。
接客でも、
「このお客様にはどの豆が合うか」
「どのような味の違いを説明するか」
「家庭でどのように淹れていただくか」
といった知識が必要です。
経験豊富な社員ほど、このような判断を自然に行えるようになります。
これは会社にとって、とても価値のある財産です。
しかし、その知識が本人の頭の中だけに残ると、
「焙煎は○○さんにしか任せられない」
「仕入れについては△△さんに聞かなければ分からない」
という状態が生まれます。
大切なのは職人の技術をなくすことではありません。
優秀な社員の経験のうち、共有できる部分を言葉や数値、手順へ変え、会社全体で活用できるようにすることです。
焙煎・店舗運営の属人化で起こりやすい10の課題
属人化が進むと、次のような問題が起こりやすくなります。
1.焙煎できる社員が限られる
2.担当者によって商品の品質に差が出る
3.豆の選定や仕入れ判断が一部社員に集中する
4.スタッフによって商品説明の内容が違う
5.ベテラン社員へ質問や仕事が集中する
6.新人が一人前になるまで時間がかかる
7.担当者の休みや退職が店舗運営へ影響する
8.新店舗を出す際に同じ品質を再現しにくい
9.卸先を増やすほど一部社員の負担が増える
10.売上が増えても利益が比例して増えにくい
特に注意したいのは、「ベテラン社員が頑張っているので今は問題なく回っている」という状態です。
現在は問題がなくても、新店舗の出店や卸売の拡大、社員の退職をきっかけに、属人化が事業成長のボトルネックになることがあります。
焙煎・接客・仕入れを仕組み化する10の取り組み
すべてをマニュアル通りにする必要はありません。
経験や感覚が重要な部分を残しながら、共通化できる部分を仕組みにしていきます。
1.焙煎工程を見える化する
豆の準備から焙煎、確認、保管までの流れを整理します。
2.焙煎条件を記録する
豆の種類や焙煎条件、仕上がりなどを記録し、経験を蓄積します。
3.品質確認の基準を共有する
「良い状態」を社員同士で判断できる基準をつくります。
4.接客の基本を標準化する
お客様への質問、商品の説明、提案方法などを整理します。
5.商品知識を共有する
豆の特徴、味、産地、適した飲み方などを社員が学べる状態にします。
6.仕入れ情報を共有する
仕入先、価格、品質、発注時期などを一部社員だけの情報にしません。
7.新人教育を体系化する
入社後に何を、どの順番で覚えるのかを明確にします。
8.店舗業務を標準化する
開店準備、販売、在庫確認、発注、閉店作業などを整理します。
9.成功事例や失敗事例を共有する
良かった焙煎や接客だけでなく、失敗した原因も会社の知識として残します。
10.属人化解消を人事評価の目標にする
マニュアル改善、後輩育成、品質安定、業務時間削減などを正式に評価します。
職人の技術を守りながら再現できる仕組みにする
標準化というと、
「職人の技術までマニュアル化してしまうのではないか」
と心配されることがあります。
しかし、目指すのはすべての社員を同じにすることではありません。
例えば、
豆の選定
↓
焙煎条件の確認
↓
焙煎
↓
状態確認
↓
品質確認
↓
記録
↓
改善
という基本工程を共有します。
そのうえで、優秀な社員が、
「なぜ今回は温度を変えたのか」
「なぜこのタイミングで調整したのか」
といった判断理由を記録していきます。
すると、単なる作業マニュアルではなく、「経験豊富な社員の考え方を学べる仕組み」になります。
一人の職人の経験を会社全体の知識に変えていくことが、品質を守りながら事業を拡大するためのポイントです。
人事評価で属人化解消を社員の目標にする
経営者が、
「ノウハウを共有してください」
「新人を育ててください」
「業務をマニュアル化してください」
と言うだけでは、日々の店舗運営が忙しいほど後回しになります。
そこで、会社が解決したい課題を社員の具体的な目標へ落とし込みます。
例えば、
・焙煎工程を標準化する
・焙煎データを蓄積する
・商品説明方法を共有する
・接客品質を改善する
・仕入れ情報を共有する
・新人教育の仕組みをつくる
・他の社員でもできる仕事を増やす
・業務時間を短縮する
・店舗運営マニュアルを改善する
・会社全体の利益につながる改善を行う
といった目標です。
そして、その達成度を人事評価で確認し、賞与へ反映します。
「自分だけが良い仕事をできる人」だけでなく、
「自分の優れた仕事を、他の社員もできる仕組みにした人」
も評価する考え方です。
売上4,000万円・利益2,100万円増加につながった取り組み
今回の企業では、焙煎・接客・仕入れなどの業務を標準化・マニュアル化し、社員個人に依存していた知識や経験を会社全体で共有することを目標にしました。
さらに、その改善活動を社員一人ひとりの正式な目標として設定し、達成度を人事評価と賞与へ反映しました。
その結果、社員の属人化解消に対する意識が高まり、会社の課題改善が進み、
・売上4,000万円増加
・利益2,100万円増加
につながりました。
重要なのは、
「もっとコーヒー豆を売ってください」
「もっと働いてください」
と求めただけではないことです。
「どうすれば品質を安定させられるか」
「どうすれば自分の焙煎技術を他の社員へ伝えられるか」
「どうすれば店舗や卸先が増えても同じ品質を保てるか」
という会社の経営課題そのものを社員の目標にしたことがポイントです。
この仕組みは飲食・小売・製造業にも活用できます
今回の考え方は、コーヒー豆販売会社だけに限定されるものではありません。
飲食店、食品製造会社、菓子製造会社、パン製造会社、酒類製造会社、小売店、専門店、製造業などにも応用できます。
特に、
「ベテラン社員にしか作れない商品がある」
「店舗によって品質や接客に差がある」
「新人教育に時間がかかる」
「多店舗展開したいが品質低下が心配」
「卸売を増やしたいが現場が対応できない」
という企業では、属人化が事業拡大を妨げていないか確認することが大切です。
優秀な社員の技術を「個人の財産」のままにするのではなく、「会社の財産」に変えることが、次の成長につながります。
ご相談について
人事評価制度は、社員に点数をつけるためだけの制度ではありません。
会社が今解決したい課題を社員一人ひとりの目標へ落とし込み、その改善行動を評価することで、属人化解消、品質安定、人材育成、生産性向上、事業拡大、利益向上を同じ方向へつなげることができます。
「焙煎や製造技術が一部の社員に集中している」
「店舗によって接客や品質に差がある」
「新人を早く育てたい」
「店舗や卸先を増やして事業を拡大したい」
「人事評価制度を会社の業績向上につなげたい」
このようなお悩みがございましたら、まず「誰に、どの技術や仕事が集中しているのか」「どの仕事なら他の社員でも再現できるのか」を整理するところから、丁寧にお手伝いいたします。
全国の企業に対応しております。
ご相談はこちらからお送りいただけます。
よくあるご質問 FAQ
豆の状態や焙煎条件などについて経験による判断が必要なため、技術や判断方法がベテラン社員個人に蓄積されやすいことが主な原因です。工程だけでなく、判断理由まで共有することが重要です。
すべての感覚や技術を完全に同じにする必要はありません。焙煎条件、確認項目、品質基準、作業工程など共有できる部分を標準化し、経験が必要な判断部分を明確にすることが大切です。
商品の個性をなくすことが目的ではありません。一定の品質を誰でも再現できる土台をつくったうえで、経験豊富な社員の高度な技術や工夫を活かしていく考え方です。
焙煎データの共有、マニュアル改善、後輩育成、品質安定、作業時間削減などを社員の正式な目標として設定し、達成度を評価・賞与へ反映することで、ノウハウ共有を継続しやすくなります。
向いています。店舗を増やす際には、本店やベテラン社員の品質・接客を他店舗でも再現できる仕組みが重要です。焙煎、接客、仕入れ、店舗運営を標準化しておくことで、事業拡大に対応しやすくなります。
この記事を書いた人

土山 誠
経営アドバイザー合同会社 代表
ブランディング戦略立案の仕事は、企業ごとに課題や方向性が異なるため、高度な提案力や企画力が求められます。
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