
案件ごとに異なる企画・手配・運営のノウハウを
仕組みに変え、人事評価制度で業務改善を促進。
売上4,500万円・利益2,000万円増加につながった事例
ブランディング戦略立案の仕事は、企業ごとに課題や方向性が異なるため、高度な提案力や企画力が求められます。
イベント会社の属人化を解消し、忙しくても利益を残せる組織をつくる方法
「案件が増えるほど社員が忙しくなる」
「大きなイベントが入ると、一部の社員に仕事が集中する」
「担当者によって準備や進め方が違う」
「経験豊富な社員がいないと現場が回らない」
「売上は増えているのに、思ったほど利益が残らない」
イベントの企画・制作・運営を行う会社では、このようなお悩みを抱えることがあります。
イベントは、お客様の要望、会場、規模、出演者、映像、音響、照明、当日の進行など、案件によって内容が大きく異なります。
そのため、経験豊富な社員の判断力や対応力は大きな強みです。
しかし、その経験が特定の社員だけに蓄積されてしまうと、「この案件は○○さんでなければできない」という仕事が増え、会社が成長するほど一部の社員へ負担が集中することがあります。
今回ご紹介するのは、大阪府で企業や自治体の式典、展示会、スポーツイベントなどの企画・制作・運営を行う従業員15名の企業です。
会場手配から映像・音響・照明まで総合的にプロデュースする一方、案件ごとの個別対応が多く、業務の属人化や繁忙期の人的負担、案件ごとの採算性などが課題となっていました。
そこで、業務プロセスの見える化・標準化、テンプレートやチェックリストの整備、受注から納品までの流れの改善などを社員の目標に設定し、その達成度を賞与へ反映する人事評価制度を提供しました。
取り組みの結果、社員の属人化解消に対する意識が高まり、会社の課題改善が進み、売上4,500万円、利益2,000万円の増加につながりました。
お客様の課題
大阪府で企業や自治体の式典、展示会、スポーツイベントなどの企画制作・運営を行う従業員15名の企業です。
会場手配から映像・音響・照明まで総合的に対応できることが強みで、利便性向上のため独自システムやオンライン連携の企画にも取り組んでいました。
一方、案件ごとに内容が異なるため、企画、手配、制作、当日運営などの進め方が社員個人の経験に依存しやすくなっていました。
具体的には、
・案件ごとに準備方法や手配内容が異なる
・経験豊富な社員へ判断が集中する
・大型案件や繁忙期に一部の社員へ負担が集中する
・過去の成功事例が十分に共有されない
・見積りや手配方法が担当者によって異なる
・案件が増えても同じ割合で利益が増えるとは限らない
といった課題です。
そこで、受注から企画、準備、運営、納品までの業務を整理し、社員個人の経験を会社全体で活用できる仕組みへ変えることを重要な課題としました。
イベント会社で属人化が起こりやすい理由
イベント会社の仕事は、同じ商品を同じ方法で販売する仕事とは異なります。
お客様から、
「こんな式典を開催したい」
「展示会で自社の商品を効果的に見せたい」
「大規模なスポーツイベントを運営したい」
と相談された場合、その目的や規模、予算、会場などに応じて企画を組み立てる必要があります。
さらに、
・会場
・映像
・音響
・照明
・出演者
・進行
・設営
・撤去
・協力会社
・当日のスタッフ
など、多くの関係者との調整が必要です。
だからこそ、経験豊富な社員の「段取り力」が大きな価値になります。
一方で、そのノウハウが本人の頭の中だけにあると、
「この会場については○○さんしか分からない」
「この協力会社との調整は△△さんに聞かないとできない」
という状態になりやすくなります。
イベント会社の属人化を解消するためには、社員の経験をなくすのではなく、その優れた経験を組織全体で活用できる形にすることが大切です。
イベント会社の属人化で起こりやすい10の問題
イベント企画・制作・運営業務の属人化が進むと、次のような問題が起こりやすくなります。
1.特定の社員に大型案件や重要案件が集中する
2.担当者によって企画や準備の進め方が異なる
3.見積りや原価管理の精度に差が生まれる
4.会場や協力会社に関する情報が個人に蓄積される
5.過去の成功事例や失敗事例が十分に共有されない
6.新人が一人で案件を担当できるまで時間がかかる
7.繁忙期になると残業や社員の負担が増える
8.担当者が休むと他の社員が案件の状況を把握できない
9.案件数が増えても同じようには利益が増えない
10.会社を拡大しようとしても人材育成が追いつかない
特に注意したいのは、
「忙しい=会社が成長している」
と考えてしまうことです。
もちろん、多くの依頼をいただけることは喜ばしいことです。
しかし、売上が増えるほど社員の残業や外注費などが増え、利益が十分に残らなければ、会社として持続的な成長が難しくなります。
「売上を増やすこと」と「少ない負担で利益を残せる仕組みをつくること」の両方を考える必要があります。
属人化解消の第一歩は、仕事の流れを見える化すること
属人化を解消しようとして、いきなり詳細なマニュアルを作る必要はありません。
まずは、一つのイベントが受注されてから終了するまでに「誰が、何をしているのか」を整理します。
受注からイベント終了までを工程に分ける
例えば、
問い合わせ・紹介
↓
ヒアリング
↓
企画
↓
提案
↓
見積り
↓
受注
↓
会場・協力会社等の手配
↓
制作・準備
↓
当日の設営・運営
↓
撤去
↓
納品・精算
↓
振り返り・次回提案
というように、仕事を工程として見えるようにします。
すると、
「いつも時間がかかるのはどこか」
「○○さんしかできない仕事は何か」
「ミスや手戻りが起きるのはどこか」
「利益を圧迫している工程はどこか」
が見えやすくなります。
イベント準備をテンプレート化して業務時間を減らす
イベントは案件ごとに異なるため、「標準化できない」と思われることがあります。
しかし、すべてを標準化する必要はありません。
共通する部分だけを標準化することでも、社員の負担を減らせる可能性があります。
例えば、
・初回ヒアリングシート
・見積書
・企画書
・会場確認表
・必要機材一覧
・協力会社への依頼書
・進行表
・当日の役割分担表
・設営チェックリスト
・撤去チェックリスト
・終了後の振り返りシート
などです。
ゼロから毎回考える仕事を減らし、「基本形+案件ごとの個別対応」にすることで、仕事のスピードと品質の両方を高めやすくなります。
チェックリストで経験豊富な社員の判断を共有する
イベント運営では、小さな確認漏れが当日の大きな問題につながることがあります。
そこで有効なのが、ベテラン社員が無意識に確認している内容をチェックリストにすることです。
例えば、
・会場利用時間
・搬入時間
・搬出時間
・電源
・音響設備
・映像設備
・照明
・必要スタッフ
・緊急連絡先
・協力会社への確認事項
などを整理します。
これはベテラン社員の仕事を単純化するためではありません。
経験豊富な社員が長年かけて身につけた「抜け漏れを防ぐ視点」を、若手社員も活用できるようにするためです。
一人の経験を組織の財産に変えることが、属人化解消につながります。
受注から納品までを仕組み化して案件の採算を見えるようにする
イベント会社では、売上だけでなく「その案件にどれだけの時間と費用がかかったか」を確認することも重要です。
例えば同じ500万円の売上でも、必要となった社員の工数や外注費などによって、会社に残る利益は大きく変わります。
そのため、
・受注金額
・見積原価
・外注費
・必要人数
・社員の工数
・追加対応
・最終原価
・案件利益
などを案件ごとに振り返ります。
「忙しかった案件」ではなく、
「どのような案件が会社に利益をもたらしているのか」
を把握できる状態をつくることが大切です。
成功したイベントのノウハウを次の案件に活かす
イベント終了後、すぐ次の案件へ移ってしまうと、せっかく得られた経験が個人の記憶だけに残ります。
そこで、案件終了後に短時間でも振り返りを行います。
・何がうまくいったか
・何に時間がかかったか
・どのようなトラブルがあったか
・どう解決したか
・お客様から何を評価されたか
・予定より費用が増えた理由は何か
・次回は何を改善するか
こうした内容を残しておけば、次に似たイベントを担当する社員が活用できます。
案件をこなすほど、会社全体にノウハウが蓄積される状態を目指します。
営業活動も「できる人だけ」に頼らない
属人化はイベント制作や運営だけでなく、営業でも発生します。
例えば、
「社長しか新規顧客を取れない」
「○○さんの人脈からしか仕事が来ない」
という状態です。
そこで、
紹介
↓
問い合わせ
↓
ヒアリング
↓
企画提案
↓
見積り
↓
商談
↓
受注
↓
イベント実施
↓
終了後フォロー
↓
次回提案
という営業導線も整理します。
過去にどのような顧客から、どのようなイベントを受注できたのかを分析することで、再現可能な案件獲得の方法を考えやすくなります。
人事評価制度で「会社を良くする行動」を社員の目標にする
ここが今回の取り組みの大切なポイントです。
経営者が、
「業務を効率化してほしい」
「ノウハウを共有してほしい」
「もっと利益を考えてほしい」
と言うだけでは、日々の案件対応に追われる社員にとって、改善活動はどうしても後回しになりがちです。
そこで、会社が解決したい経営課題を社員一人ひとりの目標へ落とし込みました。
属人化解消と利益改善につながる行動を評価する
例えば、
・業務手順を標準化する
・チェックリストを作成する
・企画書や見積書をテンプレート化する
・過去案件の成功事例を共有する
・案件の準備時間を短縮する
・新人でも担当できる業務を増やす
・協力会社の情報を共有する
・受注から納品までの流れを改善する
・案件ごとの採算を改善する
・会社全体の利益につながる改善提案を行う
といった行動です。
そして、それぞれの目標に対する達成度を確認し、人事評価と賞与へ反映します。
「たくさん案件を担当した人」だけではなく、
「会社がより効率よく仕事をできる仕組みをつくった人」
も評価する考え方です。
人事評価と賞与を連動させ、改善を続けられる組織にする
業務改善が進まない理由の一つに、
「改善しても自分の評価には関係がない」
という状態があります。
そこで、
会社の課題
↓
部署の課題
↓
社員一人ひとりの目標
↓
具体的な改善行動
↓
人事評価
↓
賞与
までをつなげます。
こうすることで、
「マニュアルをつくる」
「若手を育てる」
「業務時間を短縮する」
「案件の利益率を改善する」
といった活動も、社員の正式な仕事として位置づけやすくなります。
社員にとっても、「会社を良くする行動が、自分自身の評価にもつながる」という関係が分かりやすくなります。
取り組みにより売上4,500万円・利益2,000万円増加
今回の企業では、業務プロセスの見える化と標準化を進め、テンプレートやチェックリストを活用しながら属人化の解消に取り組みました。
さらに、受注から納品までの営業・業務プロセスを整理し、その改善を社員一人ひとりの目標へ落とし込み、達成度を人事評価と賞与へ反映しました。
その結果、社員の属人化解消に対する意識が高まり、会社の課題改善が進み、
・売上4,500万円増加
・利益2,000万円増加
につながりました。
重要なのは、社員へ単純に「もっと多くの案件をこなしてください」と求めたのではないことです。
仕事量を増やすだけではなく、
「今の仕事を、どうすればもっと効率よくできるのか」
「自分にしかできない仕事を、どうすれば他の社員にもできるようにできるのか」
「売上だけでなく、どうすれば会社に利益を残せるのか」
を社員自身が考え、改善する仕組みをつくったことがポイントです。
この仕組みはイベント会社以外の企業にも活用できます
今回の考え方は、イベント会社だけに限定されるものではありません。
・広告会社
・映像制作会社
・Web制作会社
・デザイン会社
・建設会社
・IT企業
・コンサルティング会社
・専門商社
・営業会社
・案件ごとの個別対応が多い企業
などでも応用できます。
特に、
「案件が増えるほど社員が忙しくなる」
「優秀な社員に仕事が集中している」
「担当者によって利益率に差がある」
「新人が一人前になるまで時間がかかる」
という会社では、属人化が会社の成長を妨げていないか確認することが大切です。
イベント会社の成長には「売上を増やす仕組み」と「利益を残す仕組み」の両方が必要
イベント会社では、案件を増やすことだけが成長ではありません。
案件が増える
↓
社員が忙しくなる
↓
残業や外注が増える
↓
利益率が下がる
↓
さらに人手が必要になる
という状態では、売上が増えても会社や社員の負担が大きくなってしまいます。
目指したいのは、
営業の仕組み化
↓
受注の安定
↓
業務の標準化
↓
準備時間の短縮
↓
属人化の解消
↓
社員の負担軽減
↓
案件利益の改善
↓
会社の成長
という好循環です。
人事評価制度を「社員に点数をつける制度」ではなく、「会社が抱えている課題を社員全員で解決する仕組み」として活用することで、売上と利益、社員の働きやすさを一緒に考えることができます。
「案件は増えているのに利益が残らない」
「大型案件が入ると社員が疲弊する」
「ベテラン社員がいないとイベントを任せられない」
「営業や制作のノウハウが一部の社員に集中している」
「人事評価制度を会社の業績向上につなげたい」
このようなお悩みがございましたら、まず現在の業務の中で「誰に、どの仕事が、どの程度集中しているのか」を整理するところから、丁寧にお手伝いいたします。
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よくあるご質問 FAQ
イベントの企画、見積り、会場手配、協力会社との調整、制作、当日運営などのノウハウが特定の社員に集中し、「その人がいないと仕事が進まない」状態です。個人の経験は大切な財産ですが、会社全体で共有されていないと、社員の負担増加や人材育成の遅れ、業務効率や利益率の低下につながることがあります。
まず、受注からイベント終了までの業務プロセスを見える化することから始めます。そのうえで、特定社員しかできない業務を洗い出し、企画書や見積書のテンプレート化、チェックリスト、業務マニュアル、過去事例の共有などを進めます。すべてを同じ方法にするのではなく、「標準化できる仕事」と「個人の経験を活かす仕事」を分けることが重要です。
売上だけではなく、案件ごとの工数、外注費、追加対応、最終原価などを確認することが重要です。売上の大きな案件が必ずしも利益の大きな案件とは限りません。受注から納品までの業務を標準化し、手戻りや重複作業を減らすことで、同じ売上でも利益を残しやすい体制を目指せます。
人事評価制度だけで自動的に属人化が解消されるわけではありません。重要なのは、会社が解決したい課題を社員の具体的な目標へ落とし込むことです。ノウハウ共有、業務標準化、後輩育成、作業時間短縮、利益改善などを評価対象とし、達成度を賞与などへ反映することで、社員が改善活動へ取り組む動機をつくりやすくなります。
はい。案件ごとに仕事内容が異なり、営業、制作、技術、顧客対応などが特定社員の経験に依存している企業で応用できます。IT、Web制作、広告、映像制作、建設、製造、営業会社など、「○○さんがいないと仕事が回らない」という課題を抱えている企業では、同じ考え方で業務の見える化と人事評価を連動させることができます。
この記事を書いた人

土山 誠
経営アドバイザー合同会社 代表
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