
顧客単価・継続率・販売経路を見直し、人事評価制度と連動させて
売上7,000万円・利益3,000万円増加を実現した事例
ブランディング戦略立案の仕事は、企業ごとに課題や方向性が異なるため、高度な提案力や企画力が求められます。
お客様との関係を深め、複数の販売方法から安定した利益を生み出す会社づくり
東京都でワインの流通・管理・体験サービスを提供する企業(従業員8名)では、ワインの販売だけでなく、売り手と買い手をつなぐ取引の場や、資産価値に着目したサービスなど、複数の事業を展開していました。
幅広い価値を提供できることは大きな強みでしたが、販売経路によって顧客単価や継続率に差があり、どの経路へ力を入れると利益につながるのかが明確になっていませんでした。
また、複数のサービスの価値を市場へ伝えるためには、協業先や流通先との連携が欠かせません。しかし、どのような企業と組み、どの販売経路を活用するのかについて、社内で十分な検討と行動が進んでいない状況でした。
そこで、顧客単価と継続率の改善、販売経路の見直し、協業先の開拓を社員の目標に設定し、その達成度を賞与へ反映する人事評価制度を導入しました。
その結果、社員の課題解決への意識と行動が高まり、売上7,000万円、利益3,000万円の増加につながりました。
1.販売経路によって成果が異なる会社で起こりやすい課題
複数の販売経路を持つ会社では、店舗、紹介、Webサイト、取引先、提携先など、それぞれの経路からお客様を獲得できます。
販売の機会が増える一方で、経路ごとの成果を正しく把握できていないと、忙しく活動していても十分な利益が残らないことがあります。
主に次のような課題が起こりやすくなります。
・販売経路によって顧客単価が大きく異なる
・一度の購入で終わるお客様が多い
・どの経路から利益が生まれているか分からない
・営業活動が社員個人の判断に任されている
・協業先を探しても継続的な関係に発展しない
・複数のサービスの違いを分かりやすく伝えられない
・新規顧客の獲得に時間や費用がかかる
・売上は増えても利益が十分に残らない
販売経路を増やすだけでなく、それぞれの経路から生まれる売上、利益、継続利用を確認することが大切です。
2.顧客単価と継続率のばらつきが利益を圧迫する理由
会社の利益を安定させるためには、一回の売上だけでなく、お客様との関係がどれくらい続いているかを見る必要があります。
例えば、最初の購入金額が高くても、その後の利用がなければ、継続的な売上にはつながりません。反対に、初回の金額が小さくても、長く利用してくださるお客様は、会社の安定した成長を支えてくれます。
顧客単価だけでは判断できない
顧客単価が高い販売経路であっても、広告費や営業費、人件費が多くかかっている場合、十分な利益が残らないことがあります。
確認すべきなのは、売上金額だけではありません。
・顧客を獲得するためにかかった費用
・販売や対応に必要な時間
・購入後の継続率
・追加購入や関連サービスの利用
・紹介につながった件数
これらを合わせて確認することで、どの販売経路が会社の利益に貢献しているかが見えやすくなります。
継続率が低いと新規開拓を続けなければならない
一度購入したお客様との関係が途切れてしまうと、会社は常に新しいお客様を探し続けなければなりません。
新規顧客の獲得には、広告、営業、紹介依頼、商談など、多くの時間と費用が必要です。
購入後のフォローや情報提供、次の提案を仕組み化することで、お客様との関係を長く育てやすくなります。
3.複数のサービスの価値が伝わりにくい理由
この企業では、ワインの販売、取引の場の提供、資産価値を生かしたサービスなど、複数の価値を提供していました。
複数のサービスを持つことは強みですが、伝え方が整理されていないと、お客様や協業先から「何をしている会社なのか分かりにくい」と思われることがあります。
相手によって求める価値が異なる
ワインを購入したい方、保管や管理を相談したい方、希少性や将来価値に関心がある方では、必要としている情報が異なります。
すべてのサービスを一度に説明するのではなく、相手の目的に合わせて伝える内容を整理することが重要です。
例えば、次のように考えます。
・個人のお客様には、楽しみ方や体験価値を伝える
・飲食店には、品ぞろえや仕入れの安定性を伝える
・販売店には、流通面での利点を伝える
・協業先には、お互いの顧客へ提供できる価値を伝える
・資産性に関心のある方には、管理方法や注意点を伝える
相手ごとに提案内容を整理することで、それぞれのサービスの魅力が伝わりやすくなります。
4.販売経路ごとの成果を整理する
今回の支援では、販売経路ごとの顧客単価、継続率、利益への貢献を確認することを目標の一つにしました。
まず、次の内容を整理します。
・どの経路からお客様が来ているか
・初回の購入金額はいくらか
・その後の継続購入があるか
・関連サービスの利用につながっているか
・紹介が発生しているか
・獲得までにどれくらいの費用と時間がかかっているか
・対応に必要な人員や作業時間はどれくらいか
この情報を比較すると、売上が大きく見えても利益が少ない経路や、件数は少なくても継続性の高い経路が分かります。
感覚だけで販売方法を選ぶのではなく、数字と実際の業務負担を確認しながら、力を入れる経路を決めることが大切です。
5.お客様との関係を長く育てる仕組みを整える
顧客単価や継続率を高めるためには、無理に商品を勧めるのではなく、お客様の関心や利用目的に合わせて関係を育てることが重要です。
今回のような事業では、次のような取り組みが考えられます。
・購入後に保存方法や楽しみ方を案内する
・好みや購入履歴を記録する
・お客様に合った商品や体験を案内する
・定期的に役立つ情報を届ける
・試飲会や体験企画へ案内する
・購入後の感想や要望を聞く
・別のサービスを紹介する適切な時期を決める
・長く利用してくださるお客様への対応を整える
一度の販売で終わらせず、お客様にとって役立つ情報や体験を提供し続けることで、信頼関係が深まります。
その信頼が、継続利用や紹介へつながっていきます。
6.協業先と流通経路を選ぶ基準を明確にする
販売や流通を広げるためには、自社だけで活動するのではなく、他社との協力も大切です。
ただし、協業先の数を増やすだけでは、十分な成果につながりません。自社のサービスと相手の顧客との相性を確認する必要があります。
協業先を選ぶときに確認する項目
・自社が届けたいお客様と接点を持っているか
・自社の価値を理解してもらえるか
・お互いに提供できる利点があるか
・継続的に協力できる体制があるか
・役割や費用の分担が明確か
・お客様への説明方法を共有できるか
・成果を定期的に確認できるか
例えば、飲食店、宿泊施設、百貨店、贈答品を扱う企業、金融や資産管理に関わる事業者、イベント会社など、目的に応じてさまざまな協業が考えられます。
大切なのは、単に商品を置いてもらうことではなく、相手のお客様にどのような価値を提供できるかを明確にすることです。
7.人事評価制度に会社の課題を組み込む
販売経路の見直しや協業先の開拓は、経営者だけが考えていても進みにくいことがあります。
社員が日々の仕事の中で課題を意識し、改善に取り組める仕組みが必要です。
そこで、この企業では、会社が解決したい課題を社員の目標として人事評価制度へ組み込みました。
評価の対象とした取り組み
・販売経路ごとの実績分析
・顧客単価を高める提案
・継続購入につながるフォロー
・お客様の利用状況や要望の共有
・協業先候補の調査
・新しい流通先への提案
・提携後の成果確認
・成功事例と改善点の社内共有
・他の社員が活用できる営業方法の整理
売上額だけでなく、将来の売上や利益につながる行動も評価の対象としました。
達成度を賞与へ反映する
社員ごとに具体的な目標を設定し、一定期間ごとに進捗と達成度を確認しました。
その結果を賞与へ反映することで、社員にとっても「どのような行動が会社への貢献として評価されるのか」が分かりやすくなります。
これにより、販売経路の改善や協業先の開拓が、一時的な指示ではなく、日常業務の一部として進みやすくなりました。
8.取り組みによって生まれた変化
顧客単価、継続率、販売経路、協業先の活用を社員の目標として人事評価と連動させたことで、課題解決へ向けた意識が高まりました。
社内では、次のような変化が生まれました。
・販売経路ごとの成果を確認するようになった
・売上だけでなく利益を意識するようになった
・購入後のフォローが進んだ
・お客様に合わせた提案が増えた
・複数のサービスを組み合わせた提案が進んだ
・協業先や新しい流通先を検討するようになった
・社員同士で成功事例を共有する機会が増えた
・営業活動の進め方が整理された
その結果、
・売上7,000万円増加
・利益3,000万円増加
という成果につながりました。
顧客数を増やすことだけに頼らず、既存のお客様との関係を深め、販売経路の選び方を改善したことが、売上と利益の増加を支えました。
9.この仕組みが役立つ企業
今回の仕組みは、次のような課題を抱える企業に役立ちます。
・複数の商品やサービスを扱っている
・販売経路によって売上や利益に差がある
・一度の購入で終わるお客様が多い
・既存顧客からの継続利用を増やしたい
・協業先や販売先を増やしたい
・営業方法が社員ごとに異なる
・顧客情報や成功事例が共有されていない
・売上は増えても利益が残りにくい
・人事評価制度を経営課題の解決に活用したい
ワインや食品の流通事業だけでなく、小売業、卸売業、飲食業、通販事業、Webサービス、IT企業、人材サービス、広告会社、コンサルティング会社、士業事務所、製造業、建設業、医療・介護など、全国の幅広い企業へ応用できます。
特に、営業や顧客対応のノウハウが特定の社員に集中している企業では、個人の経験を会社全体で活用する仕組みづくりに役立ちます。
10.安定した利益は、お客様との関係と社員の行動から生まれる
会社を安定して成長させるには、新しいお客様を増やすだけでは十分ではありません。
一度ご縁をいただいたお客様との関係を育て、適切な販売経路や協業先を選び、会社全体で改善を続けることが大切です。
・販売経路ごとの成果を確認する
・顧客単価と継続率を整理する
・購入後のフォローを仕組み化する
・お客様ごとに伝える価値を変える
・相性の良い協業先を選ぶ
・成功した営業方法を社内で共有する
・改善行動を人事評価へ反映する
こうした取り組みによって、社員一人ひとりの行動が、お客様との長い信頼関係と会社の利益につながります。
「販売経路は複数あるのに、どこへ力を入れるべきか分からない」
「新規のお客様は増えても、継続利用につながらない」
「協業先を増やしたいが、社員の行動が進まない」
「人事評価制度を売上と利益の改善につなげたい」
このようなお悩みがございましたら、現在の販売経路や顧客との関係、社員の目標を一緒に整理するところから、丁寧にお手伝いいたします。
FAQ
まず、販売経路ごとに初回購入額、継続購入の回数、購入期間、関連サービスの利用状況を確認します。そのうえで、購入後のフォローや次の提案が行われているかを整理すると、改善すべき販売経路や対応方法が分かりやすくなります。
売上額だけで判断せず、顧客獲得にかかる費用、対応時間、継続率、利益、紹介の発生状況を比較します。売上が大きくても費用や工数が多い経路より、継続利用が多く利益の残る経路を優先することが重要です。
購入後のフォロー、役立つ情報の提供、利用状況の確認、お客様の目的に合った次の提案を仕組み化することが有効です。単なる販売案内ではなく、お客様にとって必要な時期に役立つ提案を行うことが継続利用につながります。
自社が届けたいお客様との接点があるか、お互いの強みを生かせるか、役割や費用の分担が明確か、継続的に成果を確認できるかが重要です。協業すること自体を目的にせず、お客様へどのような価値を提供できるかを基準に選びます。
はい。顧客単価の改善、継続利用の促進、販売経路の分析、協業先の開拓、成功事例の共有などを社員の目標に設定し、達成度を賞与へ反映することで、経営課題の解決につながる行動を継続しやすくなります。
この記事を書いた人

土山 誠
経営アドバイザー合同会社 代表