
制作ノウハウの共有と継続受注の仕組みを人事評価に組み込み、
売上8,000万円・利益4,000万円増加を実現した事例
ブランディング戦略立案の仕事は、企業ごとに課題や方向性が異なるため、高度な提案力や企画力が求められます。
案件ごとの工夫を会社の力に変え、利益が残る仕組みをつくる
大阪府でプロモーション、広報、マーケティング支援を行う企業(従業員16名)では、お客様の要望に合わせた質の高い提案と制作を行っていました。
一方で、案件ごとに施策や制作物を個別に作り込むため、担当者の経験や判断に頼る場面が多くなっていました。成果につながった企画や進め方が社内で十分に共有されず、毎回ゼロから考える仕事も増えていたのです。
さらに、単発のプロジェクトによる売上が中心となっており、既存のお客様から継続して相談や依頼をいただく仕組みも十分に整っていませんでした。
そこで、制作や提案のノウハウを共有し、仕事にかかる時間を減らすこと、既存顧客からの継続受注を増やすことを社員の目標として設定しました。その達成度を賞与へ反映する人事評価制度を導入した結果、社内の改善が進み、売上8,000万円、利益4,000万円の増加につながりました。
プロモーションや制作会社で起こりやすい経営課題
プロモーション会社、広告会社、広報支援会社、Web制作会社などでは、お客様ごとに異なる課題へ対応することが求められます。
一社ごとに丁寧に提案内容を変えられることは、大きな強みです。
しかし、すべてを個別対応にしてしまうと、次のような課題が生まれやすくなります。
・担当者によって提案や制作の品質が異なる
・成功した企画や制作方法が社内に残らない
・類似案件でも毎回ゼロから考えている
・見積もり以上に作業時間がかかる
・修正や手戻りが増えて利益が残りにくい
・優秀な社員へ仕事が集中する
・単発案件が多く、売上が安定しない
・新規顧客の獲得を続けなければならない
売上が増えていても、社員の作業時間や外注費が増えれば、会社に残る利益は少なくなります。
事業を安定して成長させるには、新しい案件を増やすだけでなく、これまでの経験を共有し、同じ成果を再現できる仕組みをつくることが大切です。
案件ごとの個別対応が利益を圧迫する理由
担当者の経験に頼りやすくなる
案件ごとに内容が異なる会社では、企画の立て方やお客様への提案方法が、担当者個人の経験に依存しやすくなります。
経験豊富な社員であれば、短い時間で適切な提案ができます。しかし、その考え方が共有されていない場合、他の社員は毎回試行錯誤しなければなりません。
その結果、会社全体で見ると、同じような調査や資料作成を何度も繰り返すことになります。
制作時間や修正回数が増えやすい
お客様の要望、社内の確認基準、制作の進め方が整理されていないと、途中で認識の違いが生じます。
制作後に大きな修正が必要になったり、担当者同士の確認に時間がかかったりすると、当初の予定を超えて作業時間が増えてしまいます。
売上額が変わらないまま工数だけが増えると、案件の利益率は低下します。
単発案件への依存で売上が安定しにくい
プロジェクト型の仕事では、案件が完了すると売上も一度途切れます。
継続的な提案や受注後のフォローが仕組み化されていなければ、新しい案件を常に探し続けなければなりません。
新規顧客の獲得には、営業活動や広告、提案書作成などの時間と費用が必要です。既存のお客様との関係を深め、継続受注につなげることは、売上の安定と営業コストの削減に役立ちます。
利益が残る会社に変えるために必要な仕組み
利益率を高めるためには、単純に社員へ「効率よく働いてください」と伝えるだけでは不十分です。
まず、どの業務に時間がかかっているのか、どのような知識が特定の社員に集中しているのかを整理する必要があります。
そのうえで、次のような仕組みをつくります。
・成果につながった企画や提案を共有する
・再利用できる資料やひな型を蓄積する
・制作工程と確認基準を明確にする
・案件終了後に成功要因と改善点を振り返る
・既存顧客への継続提案の流れを整える
・改善や共有への取り組みを人事評価に反映する
こうした仕組みが整うと、社員一人ひとりの経験が会社全体の財産になります。
取り組んだ改善内容
企画・営業・制作ノウハウを共有する
まず、これまでに成果を上げた案件について、成功した理由を整理しました。
・どのような課題をお客様から聞き取ったのか
・どの提案がお客様に評価されたのか
・どのような表現や制作物が成果につながったのか
・制作を円滑に進めるために何を確認したのか
・途中で発生した問題をどのように解決したのか
・次回も活用できる資料や手順は何か
これらを担当者だけの経験にせず、他の社員が活用できる形で共有しました。
過去の成功事例を参考にできるようになると、毎回ゼロから考える時間が減り、提案や制作の品質も安定しやすくなります。
作業時間が増える原因を整理する
次に、案件ごとの工数が増えてしまう原因を確認しました。
例えば、次のような点です。
・最初の聞き取りが不足している
・制作前の確認事項が統一されていない
・社内の品質基準が曖昧になっている
・修正の依頼方法が担当者ごとに異なる
・確認する人やタイミングが決まっていない
・過去の資料を探すことに時間がかかる
原因を明確にしたうえで、案件開始時の確認項目、制作工程、社内確認、納品後の振り返りまでの流れを整理しました。
これにより、やり直しや確認待ちを減らし、限られた人数でも仕事を進めやすい体制を整えました。。
既存顧客からの継続受注を増やす
単発案件で終わらせず、既存のお客様との関係を長く育てるための仕組みも整えました。
・案件終了後の成果確認
・今後発生しそうな課題の把握
・定期的な情報提供
・追加で支援できる内容の整理
・次回提案の時期を決める
・過去の成果を踏まえた改善提案
単に次の仕事を売り込むのではなく、お客様の目標や課題を継続して理解し、必要な時期に適切な提案を行うことが大切です。
こうした対応によって、お客様から相談していただける関係を築きやすくなります。
人事評価制度で改善を継続させる
業務の手順を整えたり、共有用の資料を作ったりしても、それだけで改善活動が続くとは限りません。
日々の案件が忙しくなると、ノウハウの共有や振り返りは後回しにされやすいからです。
そこで、この企業では、会社が解決したい課題を社員の目標として人事評価へ組み込みました。
評価の対象とした取り組み
・成功した企画や提案方法の共有
・制作資料やひな型の作成
・作業時間を減らす改善提案
・修正や手戻りを減らす取り組み
・案件終了後の振り返り
・既存顧客への継続提案
・後輩への指導や情報共有
・他の社員が活用できる事例の蓄積
売上や受注件数だけでなく、会社全体の生産性や将来の利益につながる行動も評価しました。
目標の達成度を賞与へ反映する
社員ごとに具体的な目標を決め、一定期間ごとに進捗と達成度を確認しました。
その結果を賞与へ反映することで、会社が求めている行動と評価の関係が分かりやすくなります。
社員にとっても、「何を改善すれば会社への貢献として評価されるのか」が明確になります。
これにより、ノウハウの共有や業務改善が、一時的な取り組みではなく、日々の仕事として定着しやすくなりました。
取り組みによって生まれた変化
ノウハウ共有、工数削減、継続受注の仕組みづくりを人事評価制度と連動させたことで、次のような変化が生まれました。
・社員が自分の経験を積極的に共有するようになった
・過去の成功事例を別の案件でも活用できるようになった
・提案や制作の品質が安定した
・作業のやり直しや無駄な時間が減った
・担当者による業務品質の差が小さくなった
・既存顧客への継続提案が進んだ
・会社全体の営業力と制作力が向上した
・案件ごとの利益を意識するようになった
その結果、
・売上8,000万円増加
・利益4,000万円増加
という成果につながりました。
新規案件を増やすだけではなく、仕事の進め方そのものを改善し、既存のお客様との取引を育てたことが、売上と利益の両方を高める結果につながりました。
売上が増えても利益が残らない会社に必要な視点
売上が伸びているのに、なぜか資金や利益に余裕が生まれない会社があります。
その場合、案件数だけでなく、次の点を確認する必要があります。
・一件の案件に何時間かかっているか
・予定外の修正や手戻りが発生していないか
・一部の社員に業務が集中していないか
・過去の資料や事例を再利用できているか
・新規顧客の獲得に費用をかけすぎていないか
・既存顧客からの継続受注が増えているか
利益を増やすためには、売上を上げる取り組みと同時に、仕事にかかる時間や費用を減らす取り組みも必要です。
この仕組みが役立つ企業
今回の取り組みは、次のような課題を抱えている企業に役立ちます。
・案件ごとに提案や制作内容が大きく異なる
・優秀な社員に仕事が集中している
・営業や制作の方法が担当者任せになっている
・過去の成功事例が社内で活用されていない
・修正や手戻りが多い
・社員が忙しいのに利益が残らない
・単発案件が多く、売上が安定しない
・既存顧客からの継続受注を増やしたい
・人事評価制度を業績改善につなげたい
プロモーション会社、広告会社、広報支援会社、Web制作会社、動画制作会社、システム開発会社、コンサルティング会社、士業事務所など、提案や制作の知識が特定の社員に集中しやすい企業で活用できます。
また、製造業、建設業、医療・介護、教育、人材サービスなど、個別対応が多く、仕事の進め方にばらつきがある企業にも応用できます。
標準化は、提案の個性を失わせるものではない
プロモーションや制作の仕事では、お客様ごとに異なる提案が必要です。
そのため、「仕事を標準化すると、企画や表現が画一的になるのではないか」と心配される方もいらっしゃいます。
しかし、標準化するのは、すべての提案内容ではありません。
例えば、聞き取り項目、制作前の確認、品質基準、振り返り方法など、共通して行うべき部分を整えます。
基本となる進め方が整理されていれば、社員は不要な確認ややり直しに時間を取られず、お客様に合わせた企画や表現へ力を注げるようになります。
守るべき基本と、自由に工夫する部分を分けることが、品質と創造性を両立させるポイントです。
会社の利益は、社員の経験を共有する仕組みから生まれる
社員が案件を通じて得た知識や経験は、会社にとって大切な資産です。
しかし、その知識が個人の中だけに残っている場合、会社全体の力にはなりません。
・成功した企画や提案を共有する
・再利用できる資料を蓄積する
・仕事の進め方と確認基準を整える
・既存顧客への継続提案を仕組み化する
・改善や共有への取り組みを評価する
・目標の達成度を賞与へ反映する
こうした取り組みを続けることで、社員一人ひとりの経験を会社全体の営業力、制作力、利益へ変えることができます。
「案件数は増えているのに利益が残らない」
「企画や制作が特定の社員に頼っている」
「単発案件が多く、売上が安定しない」
「人事評価制度を会社の課題解決に活用したい」
このようなお悩みがございましたら、現在の業務の流れや人事評価制度を整理するところから、丁寧にお手伝いいたします。
FAQ
案件ごとの個別対応が多く、見積もり以上に作業時間がかかること、修正や手戻りが発生すること、企画や制作の方法が特定の社員に集中していることなどが主な原因です。売上だけでなく、案件ごとの作業時間と費用を確認する必要があります。
企画の考え方、提案資料の作り方、制作上の判断、顧客対応などが特定の社員だけに蓄積されている状態です。その社員が不在になると仕事が進まなかったり、他の社員が同じ品質を再現できなかったりします。
まず、成果を上げた案件を一つ選び、受注できた理由、評価された提案、制作時に工夫した点、問題への対応方法を整理します。社員が別の案件でも活用できるよう、資料や手順として残すことが大切です。
はい。ノウハウ共有、作業時間の削減、成功事例の蓄積、既存顧客への提案、後輩育成などを目標として設定し、達成度を評価することで、社員が改善活動へ継続的に取り組みやすくなります。
共有する内容と評価基準を明確にし、達成度を定期的に確認することで、社員は会社が求める行動を理解しやすくなります。売上だけでなく、組織全体の成果につながる行動を正しく評価することが重要です。
この記事を書いた人

土山 誠
経営アドバイザー合同会社 代表