
担当者に集中する制作ノウハウと作業工程を会社の仕組みに
変える業務の標準化・見積り精度の改善と人事評価の連動で
売上5,400万円・利益2,600万円増加につながった事例
ブランディング戦略立案の仕事は、企業ごとに課題や方向性が異なるため、高度な提案力や企画力が求められます。
ECサイト制作会社の属人化を減らし、見積りと制作業務を安定させる組織づくり
ECサイトの制作では、お客様によって扱う商品、販売方法、必要な機能、デザイン、運用方法などが異なります。
そのため、柔軟な対応が求められる一方で、
「案件ごとに仕事の進め方が違う」
「見積り金額が担当者によって変わる」
「経験のある社員に仕事が集中する」
「過去に似た案件があっても一から考えている」
「案件はあるのに対応できる社員が足りない」
といった問題が起こりやすくなります。
今回ご紹介するのは、京都府でECサイト構築を行う従業員24名の企業で、制作業務や見積り業務の属人化を見直した事例です。
大切にしたのは、すべてのECサイトを同じように制作することではありません。
お客様ごとに変えるべき部分は残しながら、共通化できる仕事を会社の仕組みに変えることで、制作の柔軟性と業務効率の両立を目指しました。
お客様が抱えていた課題
今回のお客様は、京都府でECサイト構築を行う従業員24名の企業です。
ECサイト制作では、お客様ごとの要望に応じて、サイト構成、デザイン、機能、商品情報、決済や配送に関する設定などを調整する必要があります。
その一方で、案件ごとの対応方法や制作ノウハウが担当社員の経験に依存し、業務量が増えやすい状態になっていました。
【お客様の課題】
制作の進め方や作業手順が、
担当者によって異なっている。
制作に必要な知識や過去の経験が、
一部の社員に集中している。
案件ごとの工数を正確に予測しにくく、
見積り金額にばらつきが生まれている。
似た案件を経験していても、
過去のノウハウを十分に再利用できていない。
経験のある社員へ確認や判断が集中し、
新しい案件への対応力が不足しやすい。
受注できる案件があっても、
制作工数が足りず機会損失につながることがある。
つまり、
「お客様に合わせたECサイトを丁寧に制作したい」
という考えと、
「社員の経験だけに頼らず、案件数の増加にも対応できる会社にしたい」
という二つの課題を両立する必要がありました。
なぜECサイト制作では属人化と見積りのばらつきが起こるのか
ECサイトは、同じように見えても案件によって内容が異なります。
商品点数、販売方法、決済、配送、会員機能、外部サービスとの連携、デザインなどによって、必要な作業量は変わります。
そのため、すべての案件を完全に同じ方法で進めることはできません。
個別制作と属人化は同じではない
ここで重要なのは、
「お客様ごとに制作内容を変えること」
と、
「制作の進め方や判断まで担当者任せになること」
を分けることです。
例えば、
初回相談で何を確認するか
見積り前に何を確認するか
要件をどう整理するか
制作開始前に何を決めるか
どの段階でお客様に確認してもらうか
公開前に何をチェックするか
といった部分は共通化できます。
一方、
商品の魅力をどう見せるか
どのようなデザインが適しているか
顧客独自の販売方法へどう対応するか
などは、制作担当者の専門性や創造性を活かす部分です。
標準化するのはデザインそのものではありません。
「良い制作物をつくるための基本的な仕事の進め方」
を会社として共有することが大切です。
ECサイト制作会社で起こりやすい10の属人化課題
次のような状態がないか確認してみてください。
1.担当者によって制作手順が違う
2.見積り金額や想定工数にばらつきがある
3.ベテラン社員に判断や確認が集中している
4.案件ごとの進捗状況を担当者しか把握していない
5.過去の制作ノウハウが次の案件に活用されていない
6.同じような資料や設定を毎回一から作っている
7.修正や手戻りが担当者によって大きく違う
8.新人が一人で案件を担当できるまで時間がかかる
9.案件が増えるほど残業や外注費も増えやすい
10.問い合わせがあっても制作工数が足りず受注機会を逃している
複数当てはまる場合には、
「もっと速く制作する」
ことだけを考えるのではなく、
「どの仕事を毎回繰り返しているのか」
「誰の知識に依存しているのか」
を確認することが、改善の第一歩になります。
属人化を減らすために行った10の取り組み
今回の支援では、制作の自由度を残しながら、共通化できる業務を整理しました。
1.問い合わせから公開までの業務を見える化する
営業、見積り、要件整理、制作、確認、公開まで、現在の仕事の流れを書き出します。
2.案件ごとの工数を記録する
見積り時の想定工数だけでなく、実際にどの工程へ何時間かかったのかを確認します。
3.見積り前の確認項目を整理する
商品点数、必要な機能、デザイン、素材の準備状況など、工数に影響する条件を共通化します。
4.制作プロセスを標準化する
担当者ごとに順番が変わらないよう、基本的な制作工程と確認時期を整理します。
5.再利用できるものを整理する
ヒアリングシート、見積り項目、制作時の確認表、説明資料など、次の案件でも使えるものを蓄積します。
6.成功・失敗事例を共有する
納期内に進んだ案件だけでなく、想定以上に工数が増えた案件も振り返ります。
7.判断理由まで会社に残す
「この案件は50時間かかった」という結果だけでなく、
「なぜ時間がかかったのか」
「見積り時に何を確認すべきだったのか」
まで残します。
8.主要サービスの基本形を整理する
よく受注する案件について、基本的な提供内容、作業範囲、必要工程を整理し、見積りや制作を進めやすくします。
9.他の社員が再現できるか確認する
マニュアルを作成して終わるのではなく、別の社員がそれを使って実際に仕事を進められるか確認します。
10.業務改善とノウハウ共有を人事評価へ反映する
個人の制作件数だけではなく、業務改善、ノウハウ共有、後輩育成、手順の標準化などを社員目標として設定し、その達成度を賞与へ反映する仕組みを整えました。
問い合わせから公開までの制作プロセスを見える化する
制作業務の属人化を改善するには、まず案件全体の流れを整理します。
例えば、
問い合わせ
↓
初回ヒアリング
↓
販売商品・目的の確認
↓
必要機能の確認
↓
制作範囲の整理
↓
想定工数の確認
↓
見積り
↓
提案
↓
受注
↓
素材・商品情報の受領
↓
サイト構成の確認
↓
デザイン・制作
↓
機能設定
↓
社内確認
↓
顧客確認
↓
修正
↓
公開前確認
↓
公開
↓
運用開始
↓
公開後の確認・改善
という流れです。
このように工程を分けると、
どこに時間がかかっているのか
どこで修正が増えているのか
どの段階でお客様との認識がずれているのか
どの作業を特定社員しかできないのか
が見えやすくなります。
制作そのものではなく「制作の進め方」を標準化する
ECサイト制作会社で注意したいのは、標準化によって制作物まで画一的にしないことです。
お客様ごとの商品やブランドの魅力を表現する部分には、担当者の経験や創造性が必要です。
一方、
ヒアリング
要件確認
進行管理
顧客確認
公開前チェック
などは、一定の流れを決めることができます。
「クリエイティブを標準化する」のではなく、
「クリエイティブに集中できる環境をつくるために、共通業務を標準化する」
と考えると進めやすくなります。
見積り精度を高め、案件が増えても利益を残しやすい仕組みをつくる
ECサイト制作では、受注金額だけを見ていても案件の採算性は分かりません。
例えば100万円で受注した案件でも、
想定していた制作時間が200時間だったのか、
実際には300時間かかったのか、
によって利益は変わります。
そのため、案件終了後には、
見積り時の想定工数
実際にかかった工数
差が生まれた工程
追加作業が発生した理由
修正回数
次回の見積りで確認すべきこと
を振り返ります。
過去案件を次の見積りへ活用する
例えば、
「商品点数が多い案件」
「外部サービスとの連携が必要な案件」
「素材が十分にそろっていない案件」
「顧客確認の回数が多くなった案件」
などを分類しておくと、新しい案件の見積りにも過去の経験を活用できます。
重要なのは、
「経験豊富な社員だから見積りができる」
状態から、
「過去の案件データと判断基準を使って、複数の社員が適切な見積りを考えられる」
状態へ変えていくことです。
よく受注するサービスは基本形をつくる
毎回すべてを一から見積もるのではなく、よく受注するサービスについて、
基本的な作業範囲
基本工程
標準的な工数
追加になりやすい作業
別途見積りになる条件
などを整理します。
そのうえで、お客様固有の要望だけを追加していきます。
これにより、見積り作成時間を減らしながら、必要な工数の見落としも防ぎやすくなります。
会社の課題を社員目標と人事評価につなげる
マニュアルや制作フローを整えても、社員が使い続けなければ属人化は戻ってしまいます。
そこで、
会社の経営課題
↓
社員の具体的な目標
↓
日々の行動
↓
達成度の確認
↓
人事評価
↓
賞与への反映
という流れをつくりました。
例えば、
「見積り精度にばらつきがある」
という課題なら、
「担当案件について想定工数と実績工数を毎月比較し、差が生じた理由を共有する」
という社員目標にできます。
「制作ノウハウが個人に集中している」
という課題なら、
「成功・失敗事例を毎月1件共有し、他案件で再利用できる内容を整理する」
という目標にできます。
「ベテラン社員に仕事が集中している」
という課題なら、
「後輩社員が通常案件の一工程を一人で担当できる状態まで育成する」
という目標にできます。
「同じ作業を毎回繰り返している」
という課題なら、
「共通作業を3件抽出し、ひな型・チェックリストとして他の社員が利用できる状態にする」
という目標にできます。
「制作した量」だけではなく「会社に残したもの」も評価する
評価では、
売上
担当案件数
納期
品質
などの個人成果に加えて、
ノウハウ共有
業務改善
後輩育成
見積り精度の改善
再利用できる仕組みづくり
なども確認します。
これによって、
「自分だけが速く制作できる社員」
だけではなく、
「自分の経験を会社へ残し、周囲の社員も成果を出せるようにする社員」
も評価しやすくなります。
より具体的な解決方法についての無料セミナーを開催しています
取り組みによって生まれた変化|売上5,400万円・利益2,600万円増加につながった事例とご相談
今回の京都府・従業員24名のECサイト制作会社では、
制作プロセスの見える化
業務手順の標準化
マニュアルの整備
見積り前の確認項目の整理
案件ごとの工数管理
成功・失敗事例の共有
再利用できる業務の整理
主要サービスの基本形づくり
社員目標の設定
人事評価と賞与への連動
などに取り組みました。
その結果、
・社員の属人化解消に対する意識が高まった
・制作の進め方を社内で共有しやすくなった
・見積りの判断材料を蓄積できるようになった
・過去案件のノウハウを次の案件へ活かしやすくなった
・会社が抱えていた課題の改善につながった
という変化が生まれました。
結果として、
売上は5,400万円増加、
利益は2,600万円増加
につながりました。
ただし、同じ取り組みを行えば、すべての企業で同じ売上・利益の増加が実現するという意味ではありません。
成果は、受注件数、案件単価、制作内容、社員数、市場環境、既存の業務体制などによって異なります。
この事例で大切なのは、
「案件を経験するほど、その経験が会社のノウハウとして蓄積され、次の案件を進めやすくなる仕組み」
をつくることです。
この考え方はECサイト制作会社だけでなく、
Web制作
システム開発
広告・マーケティング
動画・デザイン制作
IT支援
コンサルティング
営業支援
設計・開発
製造業
建設業
など、営業・制作・技術のノウハウが特定社員に集中している企業にも応用できます。
サービスは全国のあらゆる業種の企業に対応できます。
「案件はあるのに人手が足りず受注できない」
「見積りと実際の工数が合わない」
「経験のある社員へ仕事が集中している」
「同じような作業を毎回一から行っている」
「売上を増やしても利益が残りにくい」
このようなお悩みがある場合には、
「もっと速く仕事をするにはどうするか」
だけではなく、
「一度行った仕事を、次の案件でどれだけ活かせる会社になっているか」
という視点から見直してみる方法があります。
ご相談はこちらからお送りいただけます。
よくあるご質問 FAQ
顧客ごとに商品、機能、デザイン、販売方法などが異なり、見積り、要件整理、制作、顧客対応が担当者の経験に依存しやすいためです。個別対応が必要な部分と共通化できる業務を分けることが重要です。
制作物そのものを統一する必要はありません。ヒアリング、要件確認、進行管理、顧客確認、公開前チェックなど、制作を支える基本プロセスを標準化することで、担当者はデザインや提案など個別性の高い仕事へ集中しやすくなります。
見積り時の想定工数と実際の工数を案件ごとに比較し、差が発生した工程と理由を記録します。商品点数、必要機能、素材の準備状況、修正回数など、工数へ影響する条件を蓄積すると次回の見積りに活用できます。
完成した制作物だけでなく、顧客の要望、想定工数、実績工数、判断理由、修正が増えた原因、うまくいった方法、失敗した方法まで共有します。「何を作ったか」と「なぜそうしたか」を残すことで、他の社員が活用しやすくなります。
ノウハウ共有、業務標準化、見積り精度の改善、後輩育成、再利用できるひな型やチェックリストの作成などを具体的な社員目標に設定し、達成度を評価する方法があります。個人の制作実績だけでなく、会社全体の生産性を高めた行動も評価することがポイントです。
この記事を書いた人

土山 誠
経営アドバイザー合同会社 代表
ブランディング戦略立案の仕事は、企業ごとに課題や方向性が異なるため、高度な提案力や企画力が求められます。
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