
採用計画を作る前に目的と人員状況を整理する
採用計画とは、いつまでに、どの部署へ、どのような人材を、何人採用するのかを具体的に決める計画です。人手が足りなくなってから急いで求人を出す方法では、必要な人材を十分に確保できなかったり、採用基準が曖昧になったりする可能性があります。そのため、人事担当者は経営計画や事業計画と採用活動を連動させ、先を見据えて人員を準備することが大切です。
まず確認したいのが、現在の従業員数と今後必要になる人員数です。部署ごとの人数だけでなく、年齢構成、役職、保有スキル、退職予定者、異動予定者なども整理します。たとえば新規事業を始める場合、単純に人数を増やすだけではなく、その事業に必要な経験や知識を持つ人材が何人必要なのかまで考える必要があります。
また、採用の目的も明確にしましょう。欠員補充なのか、事業拡大なのか、将来の幹部候補を育成するためなのかによって、求める人物像や採用時期は変わります。採用目的を整理しておくことで、現場と人事の認識のずれを防ぎやすくなります。
採用計画を作る前には、次のような項目を確認すると進めやすくなります。
現在の部署別人数と業務量
今後の事業計画や売上目標
退職や異動による人員の増減
不足しているスキルや経験
採用後に任せたい業務内容
こうした情報を整理したうえで採用計画を作成すると、必要性の高い採用から優先順位をつけやすくなります。
必要人数と採用ターゲットを具体的に決める
採用計画の作り方で特に重要なのが、採用人数と採用ターゲットを具体化することです。「営業職を数名採用したい」といった曖昧な設定では、求人内容や選考基準を決めにくくなります。必要人数を決める際は、現在の業務量、今後の売上計画、一人あたりの担当件数、生産性などを参考にするとよいでしょう。
たとえば、今後の事業拡大によって月間100件の業務増加が見込まれ、一人あたり月20件を担当できる場合、単純計算では5人分の人員が必要です。ただし、既存社員が対応できる分や業務効率化による削減分も考慮する必要があります。採用だけで不足を補うのではなく、配置転換や業務改善で対応できる部分がないか確認することも重要です。
必要人数が決まったら、どのような人を採用したいのかを明確にします。経験年数、必要な資格、業界経験、コミュニケーション能力、仕事への姿勢など、採用基準を整理しましょう。ただし、条件を厳しくしすぎると応募者が集まりにくくなるため、「必須条件」と「あると望ましい条件」に分けるのがおすすめです。
さらに、新卒採用と中途採用では採用時期や選考方法も異なります。即戦力が必要なら中途採用、将来の育成を重視するなら新卒採用というように、目的に合わせて採用方法を選びます。採用人数、人物像、採用方法まで具体化することで、求人媒体や人材紹介などの手段も選びやすくなります。
採用スケジュールと予算を決めて定期的に見直す
採用計画は人数を決めただけでは完成ではありません。実際に採用するまでには、求人内容の作成、募集開始、応募受付、書類選考、面接、内定、入社準備など複数の工程があります。そのため、「いつまでに入社してほしいか」から逆算してスケジュールを作ることが大切です。
たとえば4月に入社してほしい場合、採用活動を3月から始めても間に合わない可能性があります。募集から内定までに1〜2か月、内定者が現在の勤務先を退職するまでに1〜2か月かかることもあるため、余裕を持った計画が必要です。採用難易度の高い職種では、さらに長い期間を想定しておくと安心です。
また、採用には費用もかかります。求人広告費、人材紹介手数料、採用サイトの制作費、説明会費用など、利用する方法によって必要な予算は変わります。採用人数だけではなく、一人を採用するためにどの程度の費用をかけられるのかを事前に決めておくことで、採用方法を比較しやすくなります。
採用活動を開始した後は、応募数、面接数、内定数、入社数などを確認しましょう。応募が少ない場合は求人内容や募集条件を見直し、面接から内定につながらない場合は選考基準や面接方法を確認します。計画と実績を比較しながら改善を続けることで、採用活動の精度を高められます。
採用計画は一度作って終わりではありません。事業環境や退職者数、応募状況は変化するため、月単位や四半期単位で見直すことが大切です。人事と現場が定期的に情報を共有し、必要に応じて人数やスケジュールを修正することで、無理のない採用活動につなげられます。